分野別運用方針

特定技能・分野別運用方針「⑧自動車整備分野」
特定技能外国人の雇用が可能な業種は、国が特定産業分野に指定した14業種になります。
全ての分野共通の基準とは別に、それぞれの分野で固有の基準が設けられています。
では、業種別に詳細を確認していきましょう!
今回は「自動車整備分野」の基準について紹介します。
自動車整備分野の現状
自動車整備分野における労働力需要は、自動車の保有台数が当面の間ほぼ横ばいで推移し、その点検整備の需要が減少する見込みがありません。一方、供給においては、自動車整備士を志す若者の減少に加え、高齢の自動車整備士の引退が始まりつつあり、平成29年度における自動車整備分野の有効求人倍率は3.73倍であるなど、深刻な人手不足の状態にあります。
また、自動車整備分野は、自動車ユーザーからの委託に基づき自動車の点検整備を行うことにより、自動車の安全・環境性能の維持に係る基幹的役割を担い、我が国の国民生活に不可欠な分野であるところ、必要な知識・技能を有する自動車整備要員の確保を実現し、自動車ユーザーが自動車の点検整備を委託できる環境を全国で維持することが、当該分野の基盤を維持・発展させていくために必要不可欠です。
特定技能「自動車整備分野」の基準

自動車整備分野における基準や業務内容、特定技能外国人に求められる水準についてご紹介します!
雇用形態について
特定技能外国人を「自動車整備分野」で雇用する方法は、直接雇用のみとなります。
※派遣による受け入れは認められておりません。
受け入れ人数について
自動車整備分野では、受入れ機関ごとの受入れ人数に制限はありません。
特定技能外国人が従事する業務内容について
特定技能外国人が「自動車整備分野」で従事する業務内容は、以下になります。
①自動車の日常点検整備 ②定期点検整備 ③分解整備

同じ業務内容の日本人が、通常従事する事となる関連業務に付随的に従事することは問題ありません。
※専ら関連業務に従事することは認められません。
関連業務の一例:
①整備内容の説明及び関連部品の販売
②部品番号検索・部内発注作業
③車枠車体の整備調整作業
④ナビ・ETC等の電装品の取付作業
⑤自動車板金塗装作業
⑥洗車作業
⑦下廻り塗装作業
⑧車内清掃作業
⑨構内清掃作業
⑩部品等運搬作業
⑪設備機器等清掃作業
技能水準について

特定技能「自動車整備分野」で求められる人材の技能水準は、以下のいずれかを満たしている者となります。
①技能試験 「自動車整備分野特定技能評価試験」に合格
②技能試験 「自動車整備士技能検定試験3級」に合格
③技能実習2号を良好に修了(修得した技能が、従事する技能と関連性が認められる場合)
「自動車整備職種、自動車整備作業」の技能実習2号を良好に修了した者については、業務で必要とされる一定の専門性・技能を有し、即戦力となるに足りる相当程度の知識または経験を有するものと評価され、「自動車整備分野特定技能評価試験」または「自動車整備士技能検定試験3級」が免除となります。

自動車整備分野特定技能評価試験とは
この試験は、道路運送車両法に基づく「日常点検整備」「定期点検整備」および「分解整備」の実施に必要な能力を測るものであり、これは、タイヤの空気圧、灯火装置の点灯・点滅、ハンドルの操作具合及びホイールナットの緩み等の点検整備に加え、エンジン、ブレーキ等の重要部品を取り外して行う点検整備・改造を適切に行うことができることが確認できるため、この試験の合格者は自動車整備分野において、一定の専門性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識や経験を有するものと認められます。
実施方法:学科試験、実技試験
実施方式:コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式
受験資格:満17歳以上
試験範囲:学科試験
①構造、機能及び取扱法に関する初等知識
②点検、修理及び調整に関する初等知識
③整備用の試験機、計量器及び工具の構造、機能及び取扱法に関する初等知識
④材料及び燃料油脂の性質及び用法に関する初等知識
実技試験
①簡単な基本工作 ②分解、組立て、簡単な点検及び調整 ③簡単な修理
④簡単な整備用の試験機、計量器及び工具の取扱い
合否基準:学科試験…正答数65%以上
実技試験…得点合計が60%以上
令和元年12月3日からフィリピン共和国において自動車整備分野特定技能評価試験を開始。国内では令和2年9月25日から実施されています。
日本語能力水準について

特定技能「自動車整備分野」で求められる人材の日本語能力水準は、以下になります。
「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」合格
職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力水準を有する者と評価され、国際交流基金日本語基礎テストおよび日本語能力試験(N4以上)のいずれの試験も免除されます。
自動車整備分野の受け入れ機関にのみ定められている特徴的な基準

特定産業分野14業種の中で、自動車整備分野にのみ定められている特徴的な基準があります。
①自動車整備分野特定技能協議会への加入
②地方運輸局長から認証を受けた事業場を有すること
では、確認して行きましょう。
①自動車整備分野特定技能協議会への加入
初めて自動車整備分野の特定技能外国人を受け入れた場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に国土交通省が設置する自動車整備分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会に加入し、加入後は協議会のほか国土交通省等が行う調査または指導に対し、必要な協力を行うなどしなければなりません。
入国後4か月以内に協議会に加入していない場合、協議会に対し必要な協力を行わない場合には、特定技能外国人の受入れは出来ません。
活動内容
①特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知
②受入れに係る人権上の問題等への対応策の検討
③特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発
④特定技能所属機関の倒産時等における特定技能外国人に対する転職支援
⑤就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
⑥地域別の人手不足の状況の把握・分析
⑦大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整
⑧特定技能所属機関及び登録支援機関が構成員であることの証明
⑨その他、必要な情報・課題の共有、協議等
②地方運輸局長から認証を受けた事業場を有すること
特定技能所属機関は、地方運輸局長の認証を受けていなければなりません。
この「認証」を受けた工場を「認証工場」と言います。
また、認証工場のうち、設備・技術・管理組織等について一定の基準に適合している工場に対して、申請により地方運輸局長が指定自動車整備事業の指定をしています。この「指定」を受けた工場を「指定工場」と言います。一般には「民間車検場」または「民間車検工場」とも呼ばれます。
特定技能外国人の受け入れについては、「指定工場」である事は求められておりません。
自動車整備分野における登録支援機関の特徴的な基準について
特定技能所属機関が1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合には、当該登録支援機関は自動車整備分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会に加入し、加入後は協議会のほか国土交通省等が行う調査または指導に対し、必要な協力を行うものでなければなりません。
また登録支援機関は、支援責任者、支援担当者その他外国人の支援を行う者として、次のいずれかの者を置かなければなりません。
①自動車整備士1級または2級の資格を有する者
②自動車整備士の養成施設において5年以上の指導に係る実務の経験を有する者
詳しくはこちら
👉「自動車整備分野における外国人の受入れ(在留資格:特定技能)」国土交通省
まとめ
今回は特定技能「自動車整備分野」の基準について、紹介しました。
自動車ユーザーからの委託に基づき自動車の点検整備を行うことにより、自動車の安全・環境性能の維持に係る基幹的役割を担い、我が国の国民生活に不可欠な自動車整備分野。
必要な知識・技能を有する自動車整備要員の確保を実現し、自動車ユーザーが自動車の点検整備を委託できる環境を全国で維持することが、自動車整備分野の基盤を維持・発展、更に我が国の経済・社会基盤の持続可能性を維持させていくために必要不可欠です。そのためにも、即戦力となる特定技能外国人の活躍が期待されます。
※自動車整備分野においては、特定技能2号での受入れを行うことはできません。
NES(ネバーエンディングスピリッツ)協同組合では「特定技能者で働きたい外国人の方」と「特定技能者を採用したい企業やお店」のマッチングをお手伝いします。お気軽にご相談下さい!

参考:
「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -自動車整備分野の基準について-」法務省・国土交通省
「自動車整備分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」法務省
「特定技能評価試験」一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
「自動車整備分野特定技能評価試験実施要領」国土交通省

特定技能・分野別運用方針「③素形材産業分野」
特定技能外国人の雇用が可能な業種は、国が特定産業分野に指定した14業種になります。
全ての分野共通の基準とは別に、それぞれの分野で固有の基準が設けられています。
では、業種別に詳細を確認していきましょう!
今回は「素形材産業分野」の基準について紹介します。
素形材産業分野の現状

素形材部品に対する需要が高まる中、平成29年度の人手不足数は、素形材産業に関連する有効求人数と有効求職者数の差から3万人であり、このまま素形材需要の拡大とこれに伴う労働需要の拡大が続くと、5年後には6万2,000人の人手不足が生じるものと推計されています。
平成29年度の素形材産業分野に関連する職業分類における有効求人倍率は2.83倍となっており、素形材産業分野に係る職種における有効求人倍率は、例えば、鋳物製造工3.82倍、鍛造工4.32倍、金属プレス工2.97倍となっているなど、深刻な人手不足の状況にあります。
◆素形材 素材に熱や力が加えられ、形が与えられた部品や部材のことをいいます。具体的な素材としては、金属をはじめ木材、石材、窯材、ゴム、ガラス、プラスチックなどがありますが、最近ではファインセラミックス、複合材料も使われるようになりました。これら素材を素形材に変えるためには、鋳造、鍛造、プレス、粉末冶金などいろいろな材料加工法が使われます。 |
特定技能「素形材産業分野」の基準
素形材産業分野における基準や業務内容、特定技能外国人に求められる水準についてご紹介します!
雇用形態について
特定技能外国人を「素形材産業分野」で雇用する方法は、直接雇用のみとなります。
※派遣による受け入れは認められておりません。
受け入れ人数について
素形材産業分野では、企業毎の受け入れ人数に制限はありませんが、受入れ機関としての義務(1号特定技能外国人支援計画)を果たす上で支障がないことが前提です。
特定技能外国人が従事する業務内容について

特定技能外国人が「素形材産業分野」で従事する業務内容は、以下になります。
①鋳造 ②鍛造 ③ダイカスト ④機械加工 ⑤金属プレス加工 ⑥工場板金 ⑦めっき ⑧アルミニウム ⑨仕上げ ⑩機械検査 ⑪機械保全 ⑫塗装 ⑬溶接
各業務毎に試験が異なるので、注意が必要です。
同じ業務内容の日本人が、通常従事する事となる関連業務に付随的に従事することは問題ありません。
※専ら関連業務に従事することは認められません。
関連業務の一例:
①原材料・部品の調達・搬送作業
②各職種の前後工程作業
③クレーン・フォークリフト等運転作業
④清掃・保守管理作業
技能水準について

特定技能「素形材産業分野」で求められる人材の技能水準は、以下のいずれかを満たしている者となります。
①製造分野特定技能1号評価試験に合格
②技能実習2号を良好に修了(修得した技能が、従事する技能と関連性が認められる場合)
下記別表に記載された職種・作業の技能実習2号を良好に修了した者については、必要な技能の水準を満たしているものとして、修得した技能と具体的な関連性が認められる業務区分の製造分野特定技能1号評価試験が免除となります。



製造分野特定技能1号評価試験とは
特定技能「素形材産業分野」では、監督者の指示を理解し的確に業務を遂行または自らの判断により業務を遂行できる事や、一定の専門性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識や経験を有する者であることを認定するための試験です。
実施方法:学科試験、実技試験
実施方式:コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式、ペーパーテスト方式または製作等作業試験方式
受験資格:満17歳以上
試験区分:13区分(機械加工、金属プレス加工、工場板金、めっき、仕上げ、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、塗装、溶接、工業包装)
合格基準:学科試験…65%以上
実技試験…【溶接】手溶接作業はJIS Z 3801に基づいて判定
半自動溶接作業はJIS Z 3841に基づいて判定
【上記以外の試験区分】60%以上

各業務ごとに試験の合格が必要です。
例えば、「鋳造」の試験しか合格していない特定技能外国人に「金属プレス加工」の業務をさせる事は出来ません。
※素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野の3分野においては、製造現場で従事する業務の多くが共通していることから、同じ「製造分野特定技能1号評価試験」が実施されます。
詳細はこちら→「製造分野特定技能1号評価試験」経済産業省
日本語能力水準について

特定技能「素形材産業分野」で求められる人材の日本語能力水準は、以下になります。
「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」合格
職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力水準を有する者と評価され、国際交流基金日本語基礎テストおよび日本語能力試験(N4以上)のいずれの試験も免除されます。
素形材産業分野の受け入れ機関にのみ定められている特徴的な基準

特定産業分野14業種の中で、素形材産業分野の受け入れ機関にのみ定められている特徴的な基準は以下になります。
①日本標準産業分類に掲げる産業のうち次のいずれかに掲げるものを行っていること
②製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会への加入
では、確認していきましょう。
①日本標準産業分類に掲げる産業のうち次のいずれかに掲げるものを行っていること
日本標準産業分類に掲げる産業のうち次のいずれかに掲げるものを行っていることが求められます。
01. 細分類2194-鋳型製造業(中子を含む)
02. 小分類225-鉄素形材製造業
03. 小分類235-非鉄金属素形材製造業
04. 細分類2424-作業工具製造業
05. 細分類2431-配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)
06. 小分類245-金属素形材製品製造業
07. 細分類2465-金属熱処理業
08. 細分類2534-工業窯炉製造業
09. 細分類2592-弁・同附属品製造業
10. 細分類2651-鋳造装置製造業
11. 細分類2691-金属用金型・同部分品・附属品製造業
12. 細分類2692-非金属用金型・同部分品・附属品製造業
13. 細分類2929-その他の産業用電気機械器具製造業(車両用,船舶用を含む)
14. 細分類3295-工業用模型製造業
また、日本産業分類に掲げる産業を行っているとは、特定技能外国人が業務に従事する事業場において、直近1年間で前記の01~14に掲げるものについて「製造品出荷額等」が発生していることを指します。
◆製造品出荷額等 直近1年間における①製造品出荷額、②加工賃収入額、③くず廃物の出荷額及びその他収入額の合計であり、消費税及び酒税、たばこ税、揮発油税及び地方揮発税を含んだ額のこと。 ①製造品の出荷…その事業所の所有に属する原材料によって製造されたものを、直近1年間中にその事業所から出荷した場合。 ②加工賃収入額…直近1年間中に他企業の所有に属する主要原材料によって製造し、あるいは他企業の所有に属する製品又は半製品に加工、処理を加えた場合、これに対して受け取った又は受け取るべき加工賃。 ③その他収入額…上記①、②及びくず廃物の出荷額以外の収入額。 |
②製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会への加入

「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」には必ず加入する必要があります。
協議・連絡会では、構成員の連携の緊密化を図り、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、制度や情報の周知、法令遵守の啓発、地域ごとの人手不足の状況を把握し、必要な対応等を行います。
主な活動内容は以下となります。
・特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知
・特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発
・就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
・地域別の人手不足の状況の把握・分析
・人手不足状況、受入れ状況等を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(特定地域への過度な集中が認められる場合の構成員に対する必要な要請等を含む)
・受入れの円滑かつ適正な実施のために必要なその他の情報・課題等の共有・協議 等
まとめ
今回は特定技能「素形材産業分野」の基準について、紹介しました。
様々な金属部品を製造・供給する等我が国製造業の根幹を担っており、我が国の国民生活に不可欠な分野である「素形材産業分野」。
今後も素形材産業分野において必要となる労働力は増加するものと見込まれ、人手不足が早急に改善できる見通しは立っていません。
深刻な人手不足の状況にある素形材産業分野の基盤を維持・発展させていく為にも、即戦力となる特定技能外国人の活躍が期待されますね!
※素形材産業分野においては、特定技能2号での受入れを行うことはできません。
NES(ネバーエンディングスピリッツ)協同組合では「特定技能者で働きたい外国人の方」と「特定技能者を採用したい企業やお店」のマッチングをお手伝いします。お気軽にご相談下さい!

参考:
「特定技能外国人材制度(製造3分野)」経済産業省
「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -素形材産業分野の基準について」法務省・経済産業省
「素形材産業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」経済産業省