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特定技能・分野別運用方針「⑫漁業分野」

特定技能外国人の雇用が可能な業種は、国が特定産業分野に指定した12業種になります。
全ての分野共通の基準とは別に、それぞれの分野で固有の基準が設けられています。

では、業種別に詳細を確認していきましょう!
今回は「漁業分野」の基準について紹介します。

漁業分野の現状

漁業分野における就業者は、平成10年に27万7,000人であったものが平成29年には15万3,000人と約半減、雇われ就業者も3年間で約1割減少しているほか、漁業分野の有効求人倍率は、漁船員2.52倍水産養殖作業員2.08倍となっているなど、深刻な人手不足の状況にあります。

漁業分野の雇われ就業者の約2割を占める65歳以上の熟練の高齢労働者が順次引退していくことなどから、今後も人手不足の深刻化が見込まれるところ、我が国漁業の存続・発展を図り、国民のニーズに応じた水産物を安定的に供給する体制を確保するとともに、将来にわたって漁業が持つ多面的な機能が発揮されることが必要不可欠です。

国内人材確保のために、漁業就業相談会や漁業体験、長期研修等の業界の取組を支援しています。
就業者が減少する中、毎年2,000人近い新規就業者を着実に確保しています。

特定技能「漁業分野」の基準

漁業分野における基準や業務内容、特定技能外国人に求められる水準についてご紹介します!

雇用形態について

特定技能外国人を「漁業分野」で雇用する方法は、以下になります。

①直接雇用
②労働者派遣

派遣事業者は、地方公共団体または漁業協同組合、漁業生産組合もしくは漁業協同組合連合会その他漁業に関連する業務を行っている者が関与するものに限ります。

漁業分野においては、同じ地域であっても、対象魚種や漁法等によって繁忙期・閑散期の時期が異なるとともに、漁業分野の事業者の多くが零細で半島地域や離島地域等に存在していること等の特性があり、地域内における業務の繁閑を踏まえた労働力の融通、雇用・支援の一元化といった漁業現場のニーズに対応するため、漁業分野の事業者による直接雇用形態に加えて、派遣により特定技能外国人を受け入れることが出来ます

※派遣として特定技能外国人を受け入れる事が出来るのは、農業と漁業のみです。

受け入れ人数について

漁業分野では、受入れ機関ごとの受入れ人数に制限はありません

特定技能外国人が従事する業務内容について

特定技能外国人が「漁業分野」で従事する業務内容は、以下になります。

①業務区分「漁業」
 ・漁具の製作・補修
 ・水産動植物の探索
 ・漁具・ 漁労機械の操作
 ・水産動植物の採捕
 ・漁獲物の処理・保蔵
 ・安全衛生の確保 など


②業務区分「養殖業」

 ・養殖資材の製作・補修・管理
 ・養殖水産動植物 の育成管理
 ・養殖水産動植物の収獲(穫)・処理
 ・安全衛生の確保 など

漁業又は養殖業に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務であれば、特定技能外国人材も付随的に従事することができます。
※専ら関連業務のみに従事することは認められません。
関連業務の一例:
①漁業の業務に従事している場合
・漁具・漁労機械の点検・換装
・船体の補修・清掃
・魚倉、漁具保管庫、番屋の清掃
・漁船への餌、氷、燃油、食材、日用品その他の操業・生活資材の仕込・積込み
・出漁に係る炊事・賄い
・採捕した水産動植物の生簀における畜養その他付随的な養殖
・自家生産物の運搬・陳列・販売
・自家生産物又は当該生産に伴う副産物を原料又は材料の一部として使用する製造・加工及び当該製造物・加工物の運搬・陳列・販売 
・魚市場・陸揚港での漁獲物の選別・仕分け
・体験型漁業の際に乗客が行う水産動植物の採捕の補助
・社内外における研修 等

②養殖業の業務に従事している場合
・漁具・漁労機械の点検・換装
・船体の補修・清掃
・魚倉、漁具保管庫・番屋の清掃
・漁船への餌、氷、燃油、食材、日用品その他の操業・生活資材の仕込 ・積込み
・養殖用の機械・設備・器工具等の清掃・消毒・管理・保守
・鳥獣に対する駆除、追払、防護ネット・テグス張り等の養殖場における食害防止
・養殖水産動植物の餌となる水産動植物や養殖用稚魚の採捕その他付随的な漁業
・自家生産物の運搬・陳列・販売
・自家生産物又は当該生産に伴う副産物を原料又は材料の一部として使用する製造・加工及び当該製造物・加工物の運搬・陳列・販売 
・魚市場・陸揚港での漁獲物の選別・仕分け
・体験型漁業の際に乗客が行う水産動植物の採捕の補助
・社内外における研修

※水産加工業は飲食料品製造業分野に含まれます。

技能水準について

特定技能「漁業分野」で求められる人材の技能水準は、以下のいずれかを満たしている者となります。

①漁業技能測定試験(漁業)
②漁業技能測定試験(養殖業)
③技能実習2号を良好に修了した者(修得した技能が、従事する技能と関連性が認められる場合)

漁船漁業職種(8作業)または養殖業職種(1作業)の技能実習2号(◎漁船漁業職種8作業:かつお一本釣り漁業、延縄漁業、いか釣り漁業、まき網漁業、ひき網漁業、刺し網漁業、定置網漁業、かに・えびかご漁業 ◎養殖業職種1作業:ほたてがい・まがき作業)を良好に修了した者については、修得した技能(◎漁船漁業職種:魚群を探し、適切な漁具・漁労機械を選択して、水産動植物を採捕し、その鮮度を保持するために用いられる ◎養殖業職種:適切な養殖資材を選択して、水産動植物を養殖し、収獲(穫)するために用いられる)が、特定技能外国人が従事する業務において要する技能の根幹となる部分に関連性が認められることから、①②の漁業技能評価試験は免除されます。

漁業技能測定試験(漁業)とは

実施方法:筆記試験、実技試験
実施方式:コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式またはペーパーテスト方式
受験資格:満18歳以上
試験科目:筆記試験…
     漁業全般及び安全衛生に係る知識及び業務上必要となる日本語能力を測定する。
     なお、試験は原則として真偽式とする。
     実技試験…
     図やイラスト等から漁具・漁労設備の適切な取扱いや漁獲物の選別に係る技能を判断する試験により
     業務上必要となる実務能力を測定する。なお、試験は原則として、多肢選択式とする。
合格基準:筆記試験及び実技試験の合計得点が6割5分以上を超える者

漁業技能測定試験(養殖業)とは

実施方法:筆記試験、実技試験
実施方式:コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式またはペーパーテスト方式
受験資格:満18歳以上
試験科目:筆記試験…
     養殖業全般及び安全衛生に係る知識及び業務上必要となる日本語能力を測定する。
     なお、試験は原則として真偽式とする。
     実技試験…
     図やイラスト等から養殖水産動植物の育成管理や養殖生産物の適切な取扱いに係る技能を判断する
     試験により、業務上必要となる実務能力を測定する。なお、試験は原則として、多肢選択式とする。
合格基準:筆記試験及び実技試験の合計得点が6割5分以上を超える者

学科試験の詳細はこちら👉
「在留資格「特定技能」漁業技能測定試験について」一般社団法人 大日本水産会

日本語能力水準について

特定技能「漁業分野」で求められる人材の日本語能力水準は、以下になります。

「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」合格

職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力水準を有する者と評価され、国際交流基金日本語基礎テストおよび日本語能力試験(N4以上)のいずれの試験も免除されます。

漁業分野の受け入れ機関にのみ定められている特徴的な基準

特定産業分野14業種の中で、漁業分野にのみ定められている特徴的な基準があります。

①漁業特定技能協議会への加入
②労働者派遣形態の場合、一定の要件を満たすこと
③漁業特定技能協議会に対し必要な協力を行う登録支援機関に委託すること

では、確認して行きましょう!

①漁業特定技能協議会への加入

初めて漁業分野の特定技能外国人を受け入れた場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に、農林水産省が設置する漁業特定技能協議会に加入し、加入後は漁業特定技能協議会に対し、必要な協力を行うなどしなければなりません。

特定技能所属機関を直接又は間接に会員(組合員)とする団体(漁業団体など)も、協議会に参画することが必要です。

主な協議事項
①漁業分野に特有の事情に応じた固有の措置の設定
②構成員資格の確認
③不正行為に対する横断的な再発防止
④外国人材の受入れや人手不足の状況等に関する情報の把握・分析など

※登録支援機関は、必ずしも協議会の構成員になる必要はありません。

②労働者派遣形態の場合、一定の要件を満たすこと

特定技能雇用契約を締結する外国人を労働者派遣等の対象とする場合にあっては、派遣先を、漁業特定技能協議会及びその構成員に対し必要な協力を誠実に行うものとすることが不可欠です。

労働者派遣事業者について

漁業分野において労働者派遣形態により特定技能外国人を受け入れることができる労働者派遣事業者は、以下の①~③のいずれかに該当し、かつ、法務大臣が農林水産大臣と協議の上で適当と認められる者になります。

①漁業又は漁業に関連する業務を行っている者であること(漁業協同組合、漁業協同組合連合会等)
②地方公共団体又は①に掲げる者が資本金の過半数を出資していること
③地方公共団体の職員又は①に掲げる者若しくはその役員若しくは職員が役員であること、その他地方公共団体又は①に掲げる者が業務執行に実質的に関与していると認められる者であること

※労働者派遣事業における派遣先の対象地域については、派遣元責任者が日帰りで派遣労働者からの苦情の処理を行い得る地域とされていることが必要であるところ、労働者派遣形態による特定技能外国人の受入れについては、派遣先の対象地域が苦情処理を含めた外国人労働者の雇用管理を適切に行うことができる範囲となっていることが必要です。

③漁業特定技能協議会に対し必要な協力を行う登録支援機関に委託すること

特定技能所属機関が特定技能外国人支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合には、当該登録支援機関は、漁業特定技能協議会に対し、必要な協力を行うものでなければなりません。

労働時間などの労務管理について

漁業については、労働時間・休憩・休日に関する労働基準法等の規定は適用除外となりますが、特定技能外国人の意向も踏まえつつ、労働基準法等に基づく基準も参考にしながら、過重な長時間労働とならないよう、適切に労働時間・休憩・休日を設定する必要があります

まとめ

今回は特定技能「漁業分野」の基準について、紹介しました。

漁業分野では65歳以上の熟練の高齢労働者が順次引退していくことから、毎年1,000 人の新規雇われ就業者を維持しても、今後も人手不足の深刻化が見込まれています。

生産性の向上、国内人材の確保に向けた最大限の努力を不断に行ったとしてもなお、人手不足の状況を直ちに改善することは困難です。

我が国の漁業の存続・発展を図り、国民のニーズに応じた水産物を安定的に供給する体制を確保するとともに、漁業が健全に営まれることを確保する為にも、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる特定技能外国人の活躍が期待されます!

NES(ネバーエンディングスピリッツ)協同組合では「特定技能者で働きたい外国人の方」と「特定技能者を採用したい企業やお店」のマッチングをお手伝いします。お気軽にご相談下さい!

参考:
「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-漁業分野の基準について-」法務省・農林水産省
「「漁業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領」農林水産省
「新たな外国⼈材受⼊れ制度に関するQ&A(漁業)」農林水産省
「特定技能外国人材の受入れ制度について(漁業分野)」水産庁
「新たな外国人材受入れ制度に係る制度説明会(漁業分野)」水産庁

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