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特定技能・分野別運用方針「農業分野」

特定技能外国人の雇用が可能な業種は、国が特定産業分野に指定した12業種になります。
全ての分野共通の基準とは別に、それぞれの分野で固有の基準が設けられています。

では、業種別に詳細を確認していきましょう!
今回は「農業分野」の基準について紹介します。

農業分野の基準

農業従事者は、平成27年から令和2年の5年間で46万人減少
主な要因は、基幹的農業従事者の高齢化に伴うリタイヤ等によるものです。

農業就業者の世代間バランスは、現時点で基幹的農業従事者の68%が65歳以上49歳以下は11%
農業就業者の減少・高齢化を背景として経営規模の拡大や雇用労働力の増加が進展していること等に鑑みると、今後も農業分野で必要となる雇用労働力は増加するものと見込まれます。

農林水産省では、生産性向上の為に農地中間管理機構等を通じた農業の担い手への農地の集積・ 集約化、ロボット技術、ICT等の先端技術の活用によるスマート農業の実現等を推進、新規就農者に対する資金の交付や無利子融資による支援、女性の活躍支援や農福連携の推進等の取組を行っており、49歳以下の新規就農者が4年連続で2万人を超えるなど一定の成果も挙がっておりますが、深刻な人手不足が早急に改善できる見通しは立っていません

特定技能「農業分野」の基準

農業分野における基準や業務内容、特定技能外国人に求められる水準についてご紹介します!

雇用形態について

特定技能外国人を「農業分野」で雇用する方法は、以下になります。

①直接雇用
②労働者派遣(派遣事業者は、農協、農協出資法人、特区事業を実施している事業者等を想定)

農業は、冬場は農作業ができないなど季節による作業の繁閑がある事や、同じ地域であっても作目による収穫や定植等の農作業のピーク時が異なるといった特性があり、農繁期の労働力の確保や複数の産地間での労働力の融通といった農業現場のニーズに対応するため、農業分野の事業者による直接雇用に加えて、派遣により特定技能外国人を受け入れることが出来ます。

※派遣として特定技能外国人を受け入れる事が出来るのは、農業と漁業のみです。

受け入れ人数について

農業分野では、受入れ機関ごとの受入れ人数に制限はありません

特定技能外国人が従事する業務内容について

特定技能外国人が「農業分野」で従事する業務内容は、以下になります。

①耕種農業全般(栽培管理、集出荷・選別等)
②畜産農業全般(飼養管理、集出荷・選別等 )

上記業務内容には、栽培管理又は飼養管理の業務が必ず含まれていることが必要です。
※例えば、農産物の選別の業務にのみ専ら従事させる事は出来ません。

同じ業務内容の日本人が、通常従事する事となる関連業務に付随的に従事することは問題ありません。
※専ら関連業務に従事することは認められません。
関連業務の一例:
①農畜産物の製造・加工
②運搬・陳列または販売の作業
③冬場の除雪作業等

技能水準について

特定技能「農業分野」で求められる人材の技能水準は、以下のいずれかを満たしている者となります。

①農業技能測定試験「耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)」合格
②農業技能測定試験「畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)」合格
③技能実習2号を良好に修了(耕種農業・畜産農業)

耕種・畜産農業に関連する技能実習2号(◎耕種農業職種3作業:施設園芸、畑作・野菜又は果樹 ◎畜産農業職種3作業:養豚、養鶏又は酪農)を良好に修了した者については、修得した技能が、1号特定技能外国人が従事する業務において要する技能と、作物の栽培管理・家畜の飼養管理、安全衛生等の点で、技能の根幹となる部分に関連性が認められることから、①②の農業技能測定試験は免除されます。

例えば「養豚」の技能実習2号を修了した特定技能外国人は、飼養管理、安全衛生等の畜産農業の根幹となる技能を修得していることから、特定技能外国人として「酪農」を含む畜産農業全般の業務に従事することができます。

農業技能測定試験「耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)」とは

実施方法:学科試験、実技試験
実施方式:コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式またはペーパーテスト方式
受験資格:満17歳以上
試験科目:学科試験…
     ①耕種農業一般 ②安全衛生 ③栽培作物の品種・特徴 ④栽培環境(施設・設備・資材・機械)
     ⑤栽培方法・管理 ⑥病害虫・雑草防除 ⑦収穫・調整・貯蔵・出荷等
     実技試験(イラスト・写真による判断)…
     ①土壌の観察 ②肥料・農薬の取扱い ③種子の取扱い ④環境管理、資材・装置・機械の取扱い
     ⑤栽培に関する作業 ⑥安全衛生等
     日本語…日本語で指示された農作業の内容等の聴き取り
合格基準:総合得点に対し、全国農業会議所が定める判定基準点を越えていること

学科試験の詳細はこちら→「農業技能測定試験(耕種農業全般)学科試験問題の範囲」一般社団法人 全国農業会議所

農業技能測定試験「畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)」とは

実施方法:学科試験、実技試験
実施方式:コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式またはペーパーテスト方式
受験資格:満17歳以上
試験科目:学科試験…
     ①畜産農業一般 ②安全衛生 ③品種 ④繁殖・生理 ⑤飼養管理等
     実技試験(イラスト・写真による判断)…
     ①個体の取扱い ②個体の観察 ③飼養管理、器具の取扱い ④生産物の取扱い ⑤安全衛生等
     日本語…日本語で指示された農作業の内容等の聴き取り
合格基準:総合得点に対し、全国農業会議所が定める判定基準点を越えていること

学科試験の詳細はこちら→「農業技能測定試験(畜産農業全般)学科試験問題の範囲」一般社団法人 全国農業会議所

日本語能力水準について

特定技能「農業分野」で求められる人材の日本語能力水準は、以下になります。

「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」合格

職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力水準を有する者と評価され、国際交流基金日本語基礎テストおよび日本語能力試験(N4以上)のいずれの試験も免除されます。

農業分野の特徴的な基準

特定産業分野12業種の中で、農業分野にのみ定められている特徴的な基準があります。

①労働者を一定期間以上雇用した経験があること
②労働者派遣形態の場合、一定の要件を満たすこと
③農業特定技能協議会への加入
農業特定技能協議会に対し必要な協力を行う登録支援機関に委託すること

では、確認して行きましょう!

①労働者を一定期間以上雇用した経験があること〈直接雇用の場合〉

農業者等が特定技能所属機関として1号特定技能外国人を直接雇用する場合、過去5年以内に同一の労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験がなければなりません。

②労働者派遣形態の場合、一定の要件を満たすこと

派遣先は過去5年以内に同一の労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験がある、もしくは派遣先責任者講習その他労働者派遣法における派遣先の講ずべき措置等の解説が行われる講習(例えば、都道府県労働局が実施する派遣先向けの講習等)を受講した者を派遣先責任者として選任していることが必要となります。

労働者派遣事業者について

農業分野において労働者派遣形態により特定技能外国人を受け入れることができる労働者派遣事業者は、以下の①~④のいずれかに該当し、かつ、法務大臣が農林水産大臣と協議の上で適当であると認められる者になります。

①農業または農業に関連する業務を行っている者であること(農業協同組合、農業協同組合連合会、農業者が組織する事業協同組合等)
②地方公共団体または①に掲げる者が資本金の過半数を出資していること
③地方公共団体の職員または①に掲げる者若しくはその役員若しくは職員が役員であることその他地方公共団体または①に掲げる者が業務執行に実質的に関与していると認められる者であること
④国家戦略特別区域法第16条の5第1項に規定する特定機関であること

③農業特定技能協議会への加入

初めて農業分野の特定技能外国人を受け入れた場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に、農林水産省が設置する農業特定技能協議会に加入し、加入後は農業特定技能協議会に対し、必要な協力を行うなどしなければなりません。

入国後4か月以内に農業特定技能協議会に加入していない場合、協議会に対し必要な協力を行わない場合には、特定技能外国人の受入れができないこととなります。

活動内容
①特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知
②受入れに係る人権上の問題等への対応
③特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発
④特定技能所属機関の倒産時等における特定技能外国人に対する転職支援(特定技能所属機関等が支援義務を果たせない場合における情報提供等の必要な協力)
⑤就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握及び分析
⑥地域別の人手不足の状況の把握及び分析
⑦上記⑥を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(看過しがたい偏在が生じた場合の協議会による大都市圏での受入れの自粛要請及び大都市圏の特定技能所属機関による特定技能外国人の引抜きの自粛要請等を含む)
⑧特定技能所属機関に対する協議会の会員であることの証明
⑨受入れの円滑かつ適正な実施のために必要なその他の情報、課題等の共有、協議等

④農業特定技能協議会に対し必要な協力を行う登録支援機関に委託すること

特定技能所属機関が特定技能外国人支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合には、当該登録支援機関は、農業特定技能協議会に対し、必要な協力を行うものでなければなりません。

労働時間などの労務管理について

労働基準法では、農業については労働時間・休憩・休日の規定が適用されないことなっています。

特定技能外国人についても、日本人労働者の場合と同じく適用されないことになりますが、優秀な人材を確保していくためにも、労働者が働きやすい環境を整えるよう努力することが推奨されています。

自らが雇用している他の日本人従業員と同じように、適切に労働時間、休憩及び休日を設定する必要があります。

まとめ

今回は特定技能「農業分野」の基準について、紹介しました。

国の基である農業。
生産性向上・国内人材確保の為に様々な取組がされており、49歳以下の新規就農者が4年連続で2万人を超えるなどの成果も上がっていますが、それでも人手不足が早急に改善できる見通しは立っていません。

農業分野の存続・発展を図り、我が国の経済・社会基盤の持続可能性を維持する為にも、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる特定技能外国人の活躍が期待されます!

特定技能2号について、現在対応を協議中です。

NES(ネバーエンディングスピリッツ)協同組合では「特定技能者で働きたい外国人の方」と「特定技能者を採用したい企業やお店」のマッチングをお手伝いします。お気軽にご相談下さい!

参考:
「農業分野における新たな外国人材の受入れについて」農林水産省
「新たな外国人材受入れ制度に関するQ&A(農業)」農林水産省
「農業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」農林水産省
「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -農業分野の基準について-」法務省・農林水産省
「農業従事者数について-平成 27 年センサスと令和2年センサスの比較 -」農林水産省

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