特定技能・分野別運用方針「⑤電気・電子情報関連産業分野」
目次
特定技能外国人の雇用が可能な業種は、国が特定産業分野に指定した14業種になります。
全ての分野共通の基準とは別に、それぞれの分野で固有の基準が設けられています。
では、業種別に詳細を確認していきましょう!
今回は「電気・電子情報関連産業分野」の基準について紹介します。
※2022年4月26日、製造3分野を統合し「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」と再編される事が閣議決定されました。この記事は、それ以前の情報となります。
関係省令等が施行され次第、新しい分野別運用方針をまとめて紹介いたします。
電気・電子情報関連産業分野の現状
自動車の電動化に伴う電子部品需要の増加等により需要が拡大する中、平成29年度の電気・電子情報関連産業に関連する未充足求人数は、直近3年分の平均値から約7,000人であり、このまま電気・電子情報関連産業の需要拡大とこれに伴う労働需要の拡大が続くと、5年後には約6万2,000人の人手不足が生じるものと推計されています。
平成29年度の電気・電子情報関連産業分野に関連する職業分類における有効求人倍率は2.75倍となっており、電気・電子情報関連産業分野に係る職種の有効求人倍率は、例えば、プラスチック製品・製造工3.70倍、製品包装作業員3.60倍、金属溶接・溶断工2.50倍となっている等、深刻な人手不足の状況にあります。
特定技能「電気・電子情報関連産業分野」の基準
電気・電子情報関連産業分野における基準や業務内容、特定技能外国人に求められる水準についてご紹介します!
雇用形態について
特定技能外国人を「電気・電子情報関連産業分野」で雇用する方法は、直接雇用のみとなります。
※派遣による受け入れは認められておりません。
受け入れ人数について
電気・電子情報関連産業分野では、受入れ機関ごとの受入れ人数に制限はありませんが、受入れ機関としての義務(1号特定技能外国人支援計画)を果たす上で支障がないことが前提となります。
特定技能外国人が従事する業務内容について
特定技能外国人が「電気・電子情報関連産業分野」で従事する業務内容は、以下になります。
①機械加工 ②金属プレス加工 ③工場板金 ④めっき ⑤仕上げ
⑥機械保全 ⑦電子機器組立て ⑧電気機器組立て ⑨プリント配線板製造
⑩プラスチック成形 ⑪塗装 ⑫溶接 ⑬工業包装
各業務毎に試験が異なるので、注意が必要です。
同じ業務内容の日本人が、通常従事する事となる関連業務に付随的に従事することは問題ありません。
※専ら関連業務に従事することは認められません。
関連業務の一例:
①原材料・部品の調達・搬送作業
②各職種の前後工程作業
③クレーン・フォークリフト等運転作業
④清掃・保守管理作業
技能水準について
特定技能「電気・電子情報関連産業分野」で求められる人材の技能水準は、以下のいずれかを満たしている者となります。
①技能試験 「製造分野特定技能1号評価試験 」に合格
②技能実習2号を良好に修了(修得した技能が、従事する技能と関連性が認められる場合)
下記別表に記載された職種・作業の技能実習2号を良好に修了した者については、必要な技能の水準を満たしているものとして、修得した技能と具体的な関連性が認められる業務区分の製造分野特定技能1号評価試験が免除となります。
製造分野特定技能1号評価試験とは
特定技能「電気・電子情報関連産業分野」では、監督者の指示を理解し的確に業務を遂行又は自らの判断により業務を遂行できる者である事や、一定の専門性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識や経験を有する者であることを認定するための試験です。
実施方法:学科試験、実技試験
実施方式:コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式、ペーパーテスト方式または製作等作業試験方式
受験資格:満17歳以上
試験区分:13区分(機械加工、金属プレス加工、工場板金、めっき、仕上げ、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、塗装、溶接、工業包装)
合格基準:学科試験…65%以上
実技試験…【溶接】手溶接作業はJIS Z 3801に基づいて判定
半自動溶接作業はJIS Z 3841に基づいて判定
【上記以外の試験区分】60%以上
各業務ごとに試験の合格が必要です。
例えば、「鋳造」の試験しか合格していない特定技能外国人に「金属プレス加工」の業務をさせるのは出来ません。
※素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野の3分野においては、製造現場で従事する業務の多くが共通していることから、同じ「製造分野特定技能1号評価試験」が実施されます。
日本語能力水準について
特定技能「電気・電子情報関連産業分野」で求められる人材の日本語能力水準は、以下になります。
「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」合格
職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力水準を有する者と評価され、国際交流基金日本語基礎テストおよび日本語能力試験(N4以上)のいずれの試験も免除されます。
電気・電子情報関連産業分野の受け入れ機関にのみ定められている特徴的な基準
特定産業分野14業種の中で、電気・電子情報関連産業分野の受け入れ機関にのみ定められている特徴的な基準は以下になります。
①日本標準産業分類に掲げる産業のうち次のいずれかに掲げるものを行っている事。
②経済産業省が設置する「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」へ加入する事
では、確認していきましょう。
①日本標準産業分類に掲げる産業のうち次のいずれかに掲げるものを行っている
日本標準産業分類に掲げる産業のうち特定産業分野14業種の中で、電気・電子情報関連産業分野の受け入れ機関にのみ定められている特徴的な基準は以下になります。次のいずれかに掲げるものを行っていることが求められます。
01.中分類28-電子部品・デバイス・電子回路製造業
02.中分類29-電気機械器具製造業(細分類2922-内燃機関電装品製造業及び細分類2929-その他の産業用電気機械器具製造業(車両用,船舶用を含む)を除く。)
03.中分類30-情報通信機械器具製造業
また、日本産業分類に掲げる産業を行っているとは、1号特定技能外国人が業務に従事する事業場において、直近1年間で上記の01~03に掲げるものについて製造品出荷額等が発生していることを指します。
◆製造品出荷額等 直近1年間における①製造品出荷額、②加工賃収入額、③くず廃物の出荷額及びその他収入額の合計であり、消費税及び酒税、たばこ税、揮発油税及び地方揮発税を含んだ額のこと。 ①製造品の出荷…その事業所の所有に属する原材料によって製造されたものを、直近1年間中にその事業所から出荷した場合。 ②加工賃収入額…直近1年間中に他企業の所有に属する主要原材料によって製造し、あるいは他企業の所有に属する製品又は半製品に加工、処理を加えた場合、これに対して受け取った又は受け取るべき加工賃。 ③その他収入額…上記①、②及びくず廃物の出荷額以外の収入額。 |
②「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」へ加入する事
「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」には必ず加入する必要があります。
協議・連絡会では、構成員の連携の緊密化を図り、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、制度や情報の周知、法令遵守の啓発、地域ごとの人手不足の状況を把握し、必要な対応等を行います。
主な活動内容は以下となります。
・特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知
・特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発
・就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
・地域別の人手不足の状況の把握・分析
・人手不足状況、受入れ状況等を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(特定地域への過度な集中が認められる場合の構成員に対する必要な要請等を含む)
・受入れの円滑かつ適正な実施のために必要なその他の情報・課題等の共有・協議 等
まとめ
今回は特定技能「電気・電子情報関連産業分野」の基準について、紹介しました。
幅広い電子機器へ部品を供給する等我が国製造業の根幹を担っており、我が国の国民生活に不可欠な「電気・電子情報関連産業分野」。今後も「電気・電子情報関連産業分野」で必要となる労働力は増加するものと見込まれ、人手不足が早急に改善できる見通しは立っておりません。
深刻な人手不足の状況にある「電気・電子情報関連産業分野」の基盤を維持・発展させていく為にも、即戦力となる特定技能外国人の活躍が期待されますね!
※電気・電子情報関連産業分野においては、特定技能2号での受入れを行うことはできません。
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参考:
「特定技能外国人材制度(製造3分野)」経済産業省
「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-電気・電子情報関連産業分野の基準について-」法務省・経済産業省
「電気・電子情報関連産業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領」経済産業省
「電気・電子情報関連産業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書」出入国在留管理庁