特定技能外国人を雇用するために必要な事とは?Vol.2:特定技能雇用契約
目次
- 1 特定技能雇用契約とは
- 2 特定技能雇用契約の内容
- 2.1 ①分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
- 2.2 ②所定労働時間が,同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
- 2.3 ③報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
- 2.4 ④外国人であることを理由として,報酬の決定,教育訓練の実施,福利厚生施設の利用その他の待遇について,差別的な取扱いをしていないこと
- 2.5 ⑤一時帰国を希望した場合,休暇を取得させるものとしていること
- 2.6 ⑥労働者派遣の対象とする場合は,派遣先や派遣期間が定められていること
- 2.7 ⑦外国人が帰国旅費を負担できないときは,受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること
- 2.8 ⑧受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること
- 2.9 ⑨分野に特有の基準に適合すること
- 3 まとめ
前回は「特定技能所属機関」について紹介しました。
特定技能外国人を雇い入れる為には、その基準を満たした「特定技能所属機関」になる必要があります。
その基準は、簡単に言うと「法令等をしっかり守っている会社」となります。
さて今回は「特定技能外国人を雇用するために必要な事」の2つ目、
「特定技能雇用契約」についてご紹介します。
特定技能雇用契約とは
別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号又は第二号に掲げる活動を行おうとする外国人が本邦の公私の機関と締結する雇用に関する契約
引用:「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案要綱」出入国在留管理庁(http://www.moj.go.jp/isa/content/930003759.pdf)
要は「特定技能所属機関」と「特定技能外国人」との雇用契約です。
この特定技能雇用契約にも、法令で細かい基準が定められています。
どのような雇用契約を結ぶ必要があるのか解説します!
特定技能雇用契約の内容
①分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること |
②所定労働時間が,同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること |
③報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること |
④外国人であることを理由として,報酬の決定,教育訓練の実施,福利厚生施設の利用その他の待遇について,差別的な取扱いをしていないこと |
⑤一時帰国を希望した場合,休暇を取得させるものとしていること |
⑥労働者派遣の対象とする場合は,派遣先や派遣期間が定められていること |
⑦外国人が帰国旅費を負担できないときは,受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること |
⑧受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること |
⑨分野に特有の基準に適合すること |
では、一つずつ確認して行きましょう!
①分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄に規定する産業上の分野等を定める省令(平成三十一年法務省令第六号)で定める分野に属する同令で定める相当程度の知識若しくは経験を必要とする技能を要する業務又は当該分野に属する同令で定める熟練した技能を要する業務に外国人を従事させるものであること。
引用:「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(平成三十一年法務省令第五号)e-Govポータル(https://elaws.e-gov.go.jp/)
特定技能外国人に従事してもらう仕事は、どんな業務でもいいわけではありません。
「相当程度の知識若しくは経験を必要とする技能を要する業務」である必要があります。
あの部署、業務内容が全く違うけど忙しいからちょっと行って来て!等は出来ません。
②所定労働時間が,同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
特定技能外国人は、フルタイムで働く事が想定されています。
ここで言う「通常の労働者」とは、同じ企業で働くフルタイム社員であり、
特定技能外国人も彼等と同じ労働時間に合わせる必要があります。
③報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
特定技能外国人が、同じ仕事をする日本人従業員と同等レベルの技量があるのに、報酬額に差があってはなりません。
外国人だから…等、不当な理由で報酬額を下げる事は決して出来ません。
④外国人であることを理由として,報酬の決定,教育訓練の実施,福利厚生施設の利用その他の待遇について,差別的な取扱いをしていないこと
いかなる場合でも、不当な差別をしてはいけません。
⑤一時帰国を希望した場合,休暇を取得させるものとしていること
特定技能外国人が一時帰国を希望した場合、必要な有給休暇を取得させる必要があります。
また、有給休暇を使ってしまった特定技能外国人から、一時帰国の為の休暇申請があった場合、追加の有給休暇等が取得出来るよう配慮が必要です。
⑥労働者派遣の対象とする場合は,派遣先や派遣期間が定められていること
外国人を労働者派遣等(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下「労働者派遣法」という。)第二条第一号に規定する労働者派遣及び船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第六条第十一項に規定する船員派遣をいう。以下同じ。)の対象とする場合にあっては、当該外国人が労働者派遣等をされることとなる本邦の公私の機関の氏名又は名称及び住所並びにその派遣の期間が定められていること。引用:「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(平成三十一年法務省令第五号)e-Govポータル(https://elaws.e-gov.go.jp/)
⑦外国人が帰国旅費を負担できないときは,受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること
一時帰国の場合ではなく、特定技能雇用契約終了後の帰国の際に旅費を負担出来ない場合、雇用していた会社が旅費を負担し、円滑な出国(チケットの予約等)をサポートする必要があります。
⑧受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること
事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。」
引用:「定期健康診断等に関する法令等について」厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000111983.pdf)
事業者は、国籍に関わらず労働者の健康を確保する義務が求められます。
特定技能外国人が、日本で安心して暮らし働く事が出来るよう、毎年健康診断を行い緊急連絡先などを整備しなければなりません。
⑨分野に特有の基準に適合すること
前各号に掲げるもののほか、法務大臣が告示で定める特定の産業上の分野に係るものにあっては、当該産業上の分野を所管する関係行政機関の長が、法務大臣と協議の上、当該産業上の分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準に適合すること。
引用:「定期健康診断等に関する法令等について」厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000111983.pdf)
まとめ
今回は「特定技能雇用契約の基準」について紹介致しました。
なかなか細かい基準でしたね。
しかし、ひとつひとつ確認していくと
「外国人だからと不当な扱いをしてはいけない」
「時間・報酬は同じ業務をこなす日本人と同様にする」
など、外国人労働者を守る為の内容が多いように思います。
背景には、「いじめ・パワハラ」「低賃金」など外国人労働者を取り巻く様々な問題があります。その様々な問題を踏まえ、「特定技能」の外国人労働者に対する不等な扱いを防ぐための内容が沢山盛り込まれているんですね!
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参考文献:井出誠、長岡俊行(2020)『「特定技能」外国人雇用準備講座』株式会社ビジネス教育出版社