特定技能・分野別運用方針「⑨航空分野」
目次
特定技能外国人の雇用が可能な業種は、国が特定産業分野に指定した12業種になります。
全ての分野共通の基準とは別に、それぞれの分野で固有の基準が設けられています。
では、業種別に詳細を確認していきましょう!
今回は「航空分野」の基準について紹介します。
航空分野の現状
航空分野(空港グランドハンドリング及び航空機整備)は、近年の訪日外国人旅行者数の増加に伴い、人手不足が深刻化。今後、訪日外国人旅行者数の政府目標(2020年4,000万人、2030年6,000万人)に向けた国際線旅客のさらなる増加等から、人員不足がボトルネックとなることが懸念されています。
このような人手不足解消に向けて、航空分野では様々な取組を行っております。
生産性向上の為の取組
業務のマルチタスク化、IT技術や新型機器の導入による作業の効率化、シミュレーターによる支援車両操作訓練の導入等による人材育成の効率化、新型航空機の導入による作業工数の縮減等。
国内人材確保の為の取組
賃金水準の改善や諸手当の拡充等の処遇の改善の取組が進んでいるほか、公休日数の引上げ、育児休業制度の拡充、継続雇用の拡大等の労働条件や職場環境の改善により、新規雇用の増加、若年離職者の抑制、高齢層の活用等。
上記の様な取組を最大限行ってもなお、人手不足は解消されておりません。
特定技能「航空分野」の基準
航空分野における基準や業務内容、特定技能外国人に求められる水準についてご紹介します!
雇用形態について
特定技能外国人を「航空分野」で雇用する方法は、直接雇用のみとなります。
※派遣による受け入れは認められておりません。
受け入れ人数について
航空分野では、受入れ機関ごとの受入れ人数に制限はありません。
特定技能外国人が従事する業務内容について
1号特定技能外国人が「航空分野」で従事する業務内容は、以下になります。
①空港グランドハンドリング
・航空機地上走行支援業務
・手荷物・貨物取扱業務
・手荷物・貨物の搭降載取扱業務
・航空機内外の清掃整備業務
②航空機整備
・運航整備
・機体整備
・装備品・原動機整備
※資格保持者等の指導者やチームリーダーの下で業務を行います。
同じ業務内容の日本人が、通常従事する事となる関連業務に付随的に従事することは問題ありません。
※専ら関連業務に従事することは認められません。
関連業務の一例:
①事務作業
②作業場所の整理整頓や清掃
③積雪時における作業場所の除雪
技能水準について
特定技能「航空分野」で求められる人材の技能水準は、以下のいずれかを満たしている者となります。
①特定技能評価試験(航空分野:空港グランドハンドリング)に合格
②特定技能評価試験(航空分野:航空機整備)に合格
③技能実習2号を良好に修了(空港グランドハンドリング職種)
「空港グランドハンドリング職種」の技能実習2号を良好に修了した者については、修得した技能と特定技能外国人が従事する業務において要する技能の根幹となる部分に関連性が認められることから、空港グランドハンドリング業務で必要とされる一定の専門性・技能を有し、即戦力となるに足りる相当程度の知識または経験を有するものと評価され、特定技能評価試験(航空分野:空港グランドハンドリング)は免除されます。
特定技能評価試験(航空分野:空港グランドハンドリング)とは
特定技能評価試験(航空分野:空港グランドハンドリング)は、社内資格を有する指導者やチームリーダーの指導・監督の下、空港における航空機の誘導・けん引の補佐、貨物・手荷物の仕分けや荷崩れを起こさない貨物の積付け等ができるレベルであることを確認するものです。
実施方法:筆記試験、実技試験
実施方式:筆記試験…ペーパーテスト形式、真偽法(○×式)、選択法
実技試験…ペーパーテスト形式、選択法、記述法
受験資格:17歳以上
試験科目:筆記試験…
空港グランドハンドリング業務のうちの次に掲げる分野に関し、基礎的な知識を有するとともに、
現場において適切な対応をとるために必要な知識を有することを判定
①ランプエリア内での安全・セキュリティー確保
②貨物のハンドリング ③手荷物のハンドリング ④客室内清掃 ⑤誘導作業
実技試験…
空港グランドハンドリング業務のうちの次に掲げる基本技術に関し、実務能力を有することを判定
① ランプエリア内での安全・セキュリティー確保 ② 貨物のハンドリング
③ 手荷物のハンドリング ④ 客室内清掃
合否基準:筆記試験および実技試験それぞれの正答率が65%以上
詳細はこちら→「特定技能評価試験(航空分野:空港グランドハンドリング)試験案内」公益社団法人日本航空技術協会
特定技能評価試験(航空分野:航空機整備)とは
特定技能評価試験(航空分野:航空機整備)は、整備の基本技術を有し、国家資格整備士等の指導・監督の下、機体や装備品等の整備業務のうち基礎的な作業(簡単な点検や交換作業等)ができるレベルであることを確認するものです。
実施方法:筆記試験、実技試験
実施方式:筆記試験…ペーパーテスト形式
実技試験…作業試験形式
受験資格:17歳以上
試験範囲:筆記試験…
航空機整備業務のうちの次に掲げる3分野に関し、基礎的な知識を有するとともに、
業務遂行に際して適切な対応をとるために必要な知識を有することを判定
①航空機の基本技術(締結、電気計測) ②作業安全・品質 ③航空機概要
実技試験…
航空機整備業務のうちの次に掲げる基本技術に関し、実務能力を有することを判定
①締結 ②電気計測
合否基準:筆記試験および実技試験それぞれの正答率が65%以上
詳細はこちら→「特定技能評価試験(航空分野:航空機整備)試験案内」公益社団法人日本航空技術協会
日本語能力水準について
特定技能「航空分野」で求められる人材の日本語能力水準は、以下になります。
「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」合格
職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力水準を有する者と評価され、国際交流基金日本語基礎テストおよび日本語能力試験(N4以上)のいずれの試験も免除されます。
航空分野の受け入れ機関にのみ定められている特徴的な基準
特定産業分野14業種の中で、航空分野にのみ定められている特徴的な基準があります。
①空港管理規則に基づく構内営業承認等を受けた事業者であること
②航空法に基づく航空機整備等に係る認定事業場を有する事業者等である事
③航空分野特定技能協議会への加入
では、確認して行きましょう!
①空港管理規則に基づく構内営業承認等を受けた事業者であること
空港グランドハンドリングの業務区分の1号特定技能外国人を受け入れる特定技能所属機関は、空港管理規則(昭和27年運輸省令第44号)第12 条第1項若しくは第12条の2第1項の承認を受けた者(航空法(昭和27 年法律第231号)第100条第1項の許可を受けた者を含む。)若しくは同規則第13条第1項の承認を受けた者若しくは同規則第12条第1項、第1 2条の2第1項若しくは第13条第1項の規定に準じて定められた条例、規則その他の規程の規定に相当するものに基づき空港管理者により営業を行うことを認められた者であって、空港グランドハンドリングを営む者でなければなりません。
②国土交通大臣による認定を受けた航空機整備業者である事
航空機整備の業務区分の特定技能外国人を受け入れる特定技能所属機関は、航空法(昭和27年法律第231号)第20条第1項第3号、第4号若しくは第7号の能力について同項の国土交通大臣による認定を受けた者(以下「航空機整備等に係る能力について認定を受けた者」という。)若しくは当該者から業務の委託を受けた者でなければなりません。
③航空分野特定技能協議会への加入
初めて航空分野の1号特定技能外国人を受け入れた場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に、国土交通省が設置する航空分野特定技能協議会に加入し、加入後は協議会に対し、また国土交通省が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うなどしなければなりません。
入国後4か月以内に協議会に加入していない場合、協議会に対し必要な協力を行わない場合には、特定技能外国人の受入れができないこととなります。
活動内容
①特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知
②受入れに係る人権上の問題等への対応策の検討
③特定技能所属機関等に対する法令順守の啓発
④特定技能所属機関の倒産時等における特定技能外国人に対する転職支援(特定技能所属機関等が支援義務を果たせない場合における情報提供等の必要な検討)
⑤就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
⑥地域別の人手不足の状況の把握・分析
⑦上記⑥を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(看過しがたい偏在が生じた場合の協議会による大都市圏での受入れの自粛要請や、特定技能所属機関による他の機関に雇用されている特定技能外国人の引抜きの自粛要請等を含む)
⑧航空分野における生産性の向上や国内人材確保のための取組の調査・啓発
⑨特定技能所属機関及び登録支援機関が構成員であることの証明
⑩その他、前条の目的を達成するために必要な情報・課題の共有、協議等
まとめ
今回は特定技能「航空分野」の基準について、紹介しました。
訪日外国人旅行者の増加等による航空需要の増加に的確に対応していくためには、資格保持者等の指導者やチームリーダーの指導・監督の下で、空港内での作業の制約を理解し、航空機用の特殊な機材や工具を用いて作業を行うという一定の専門性・技能を有し、即戦力となる特定技能外国人の活躍が期待されます!
※航空分野においては、特定技能2号での受入れを行うことはできません。
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参考:
「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-航空分野の基準について-」法務省・国土交通省
「航空分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書」出入国在留管理庁
「特定技能評価試験 航空分野について」公益社団法人航空技術協会
「航空分野における新たな外国人材の受入れについて」国土交通省
「航空分野特定技能協議会規約」国土交通省