特定技能・分野別運用方針「②ビルクリーニング分野」
目次
特定技能外国人の雇用が可能な業種は、国が特定産業分野に指定した14業種になります。
全ての分野共通の基準とは別に、それぞれの分野で固有の基準が設けられています。
では、業種別に詳細を確認していきましょう!
今回は「ビルクリーニング分野」の基準について紹介します。
ビルクリーニング分野の現状
建築物衛生法の適用対象となる特定建築物が年々増加する中、ビル・建物清掃員の有効求人倍率は近年高い水準で推移し、平成29年度には2.95倍に達しており、人材の確保が困難な状況です。
◆特定建築物 興行場、百貨店、店舗、事務所、学校等の用に供される建築物で、延べ面積が3,000平方メートル以上(小学校、中学校等は8,000平方メートル以上)のもの |
また、ビル・建物清掃員の平成29年度の地域ブロック単位の有効求人倍率は、最も高い中国地方が3.80倍、最も低い東北地方が2.03倍であり、全国的に人手不足が深刻な状況にあります。
ビルクリーニング業界では、生産性の向上や国内人材の確保の取組として、ロボット化の普及促進や高齢者・若年者雇用の推進、賃金引上げなどを行っています。
様々な取組を行っているものの、人手不足は年々拡大傾向にあります。
人材不足によりビルクリーニング業務が適切に行われなくなれば、建築物の衛生状態が悪化し、利用者の健康が損なわれる恐れがあることから、その防止のために、特定技能外国人の受入れが急務だと考えられています。業界からも強い要望があります。
特定技能「ビルクリーニング分野」の基準
ビルクリーニング分野における基準や業務内容、特定技能外国人に求められる水準についてご紹介します!
雇用形態について
特定技能外国人を「ビルクリーニング分野」で雇用する方法は、直接雇用のみとなります。
※派遣による受け入れは認められておりません。
受け入れ人数について
ビルクリーニング分野では、受入れ機関ごとの受け入れ人数に制限はありません。
特定技能外国人が従事する業務内容について
特定技能外国人が「ビルクリーニング分野」で従事する業務内容は、以下になります。
多数の者が利用する建築物の内部の清掃作業(床・天井・内壁・トイレ・洗面所など)
多数の利用者が利用する建築物の内部を対象に、衛生的環境の保護、美観の維持、安全の確保及び保全の向上を目的として、場所、部位、建材、汚れ等の違いに対し、方法・洗剤及び用具を適切に選択して清掃作業を行い、建築物に存在する環境上の汚染物質を排除し、清潔さを維持する業務となります。
同じ業務内容の日本人が、通常従事する事となる関連業務に付随的に従事することは問題ありません。
※専ら関連業務に従事することは認められません。
「多数の利用者が利用する建築物」とありますが、住宅は対象外です。
技能水準について
特定技能「ビルクリーニング分野」で求められる人材の技能水準は、以下のいずれかを満たしている者となります。
①ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験に合格
②ビルクリーニング分野の技能実習2号を良好に修了
「ビルクリーニング職種、ビルクリーニング作業」の技能実習2号を良好に修了した者については、修得した技能と特定技能外国人が従事する業務において要する技能の根幹となる部分に関連性が認められることから、ビルクリーニング業務で必要とされる一定の専門性・技能を有し、即戦力となるに足りる相当程度の知識または経験を有するものと評価され、ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験は免除されます。
ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験とは
特定技能「ビルクリーニング分野」では、ビルクリーニング分野における初級の技能者が通常習得するべき技能を習得しているかを確認する観点から、試験の水準は「ビルクリーニング職種・ビルクリーニング作業の第2号技能実習修了相当の水準」となります。
具体的には、場所・部位・建材・汚れ等の違いに対し、作業手順に基づき、自らの判断により、方法、洗剤および用具を適切に選択して清掃作業を遂行できるレベルとなります。
実施方法:実技試験
受験資格:17歳以上
試験科目:ビルクリーニングに関する「作業の段取り」「器具の使用」「資材の使用」「機械の使用」「各部位の清掃」「各場所の清掃」「廃棄物処理作業」「資機材の整備」の各業務が適切に遂行できることの確認
合格基準:判断試験の点数が満点の60%以上、かつ作業試験の点数が満点の60%以上
詳細はこちら→「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験実施要領」厚生労働省医薬・生活衛生局
2019年過去問題→「2019年度判断試験(問題)」公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会
日本語能力水準について
特定技能「ビルクリーニング分野」で求められる人材の日本語能力水準は、以下になります。
「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」合格
職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力水準を有する者と評価され、国際交流基金日本語基礎テスト及び日本語能力試験(N4以上)のいずれの試験も免除されます。
ビルクリーニング分野の受け入れ機関にのみ定められている特徴的な基準
特定産業分野14業種の中で、ビルクリーニング分野にのみ定められている特徴的な基準があります。
①建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の登録を受けていること
②ビルクリーニング分野特定技能協議会への加入
③厚労省が行う調査又は指導に対し必要な協力を行うこと
では、確認していきましょう!
①建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の登録を受けていること
特定技能外国人を受け入れる事業者は、都道府県知事より、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(略称:建築物衛生法)第12条の2第1項第1号に規定する「建築物清掃業」、または同項第8号に規定する「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受けた営業所である必要があります。また、6年ごとに登録の更新を行う必要があります。
◆建築物清掃業 建築物における床などの清掃を行う事業(建築物の外壁や窓の清掃、給排水設備のみの清掃を行う事業は含まない) |
◆建築物環境衛生総合管理業 建築物における清掃、空気調和設備及び機械換気設備の運転、日常的な運転等並びに空気環境の測定、給水及び排水に関する設備の運転等並びに給水栓における水の遊離残留塩素、色、濁り、臭い、味の検査等を行う事業 |
②ビルクリーニング分野特定技能協議会への加入
初めてビルクリーニング分野の特定技能外国人を受け入れた場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に、ビルクリーニング分野特定技能協議会に加入し、加入後はビルクリーニング分野特定技能協議会に対し必要な協力を行うなどしなければなりません。
また、協議会に対し必要な協力を行わない場合には、基準に適合しないことから、特定技能外国人を受入れることは出来ません。
③厚労省が行う調査または指導に対し必要な協力を行うこと
特定技能外国人を受け入れる事業者は、厚生労働大臣が行う必要な調査、指導、情報の収集、意見の聴取、その他業務に対して必要な協力を行う必要があります。
リーフレット
ビルクリーニング分野における特定技能制度に関するリーフレットがウェブサイトに掲載されております。
受入機関向け👉「ビルクリーニング分野における特定技能制度に係る啓発資料(受入機関)」厚生労働省【PDF】
外国人の方向け👉「ビルクリーニング分野における特定技能制度に係る啓発資料(特定技能外国人用)」厚生労働省【PDF】:日本語版
送出機関向け👉「ビルクリーニング分野における特定技能制度に係る啓発資料(送出機関)」厚生労働省【PDF】:日本語版
※外国人の方向け、送出機関向けは、日本語の他に英語版・ベトナム語版・ミャンマー語版・インドネシア語版・クメール語版があります。
詳しくはこちら👉「ビルクリーニング分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」について)」厚生労働省
まとめ
今回は特定技能「ビルクリーニング分野」の基準について、紹介しました。
出入国在留管理庁が公開している、「ビルクリーニング分野」
業界からも強い要望がある程に人手不足が深刻なビルクリーニング分野。
大勢の人が利用する百貨店や店舗等の衛生状態を保つ為にも必要不可欠です。
即戦力として働く事ができる特定技能外国人の方の活躍が期待されますね!
※ビルクリーニング分野においては、特定技能2号での受入れを行うことはできません。
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参考:
「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領
-ビルクリーニング分野の基準について-」法務省・厚生労働省
「ビルクリーニング分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」法務省
「ビルクリーニング分野について」厚生労働省
「ビルクリーニング分野」出入国在留管理庁