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特定技能・分野別運用方針「①介護分野」

特定技能外国人の雇用が可能な業種は、国が特定産業分野に指定した14業種になります。
全ての分野共通の基準とは別に、それぞれの分野で固有の基準が設けられています。

では、業種別に詳細を確認していきましょう!
今回は「介護分野」の基準について紹介します。

介護分野の現状

介護分野の有効求人倍率は近年一貫して上昇を続けており、平成30年度においては3.95倍と、全職業の1.46倍と比較しても2pt以上高い水準にあります。また、地域によって高齢化の状況等は異なっており、都道府県別の介護分野の有効求人倍率は、全都道府県においておおむね2倍以上になります。

このような状況の中、第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数の推計では、2016年度の約190万人に加え、2020年度末までに約26万人、2025年度末までに約55万人、年間6万人程度の介護人材を確保する必要があるとされています。

介護人材確保に向けて、①介護職員の処遇改善②多様な人材の確保・育成③離職防止・定着促進・生産性向上④介護職の魅力向上⑤外国人材の受入環境整備など総合的な取組を通じ、2014年から2016年までにかけて介護人材は前年比で平均6万人程度増加しています。

しかし、近年増加数が減少傾向にあることに加え、今後生産年齢人口が一層減少していくこと等も見込まれる中、年間平均6万人程度の国内介護人材の確保を引き続き進めていくことは困難な状況にあります。

特定技能「介護分野」の基準

介護分野における基準や業務内容、特定技能外国人に求められる水準についてご紹介します!

雇用形態について

特定技能外国人を「介護分野」で雇用する方法は、直接雇用のみとなります。
※派遣による受け入れは認められておりません。

受け入れ人数について

介護分野には、受け入れ機関毎の受け入れ人数の上限が定められています。

事業所で受け入れることができる特定技能外国人は「事業所単位で、日本人等の常勤の介護職員の総数を超えないこと」とされています。

常勤の介護職員の総数とは日本人労働者のほか、以下の在留資格を持った外国人労働者を含めた総数になります。
①介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士
②在留資格「介護」により在留する者
③永住者や日本人の配偶者など、身分・地位に基づく在留資格により在留する者

※技能実習生やEPA介護福祉士候補者は、常勤の介護職員のには含まれません。

上記在留資格の違いについて、簡単に紹介します!

①介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士とは

EPA介護福祉士とは、経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)に基づいて、日本の介護施設で就労・研修をしながら、日本の介護福祉士資格を取得した外国の方です。
介護福祉士の資格を取得すれば、在留期限の上限は無くなります

EPA介護福祉士候補者として、日本の介護施設で4年間の就労経験を持つ方は、特定技能1号への移行が可能です。

◆経済連携協定(EPA)
日本と相手国の経済上の連携を強化する観点から、公的な枠組みで特例的に行うもの。(労働力不足への対応が目的ではない)
現在の受け入れ国…インドネシア・フィリピン・ベトナム

②在留資格「介護」により在留する者とは

日本の介護福祉士養成校に通う外国人留学生は、 卒業して介護福祉士の資格を取得すると、「介護」という在留資格を取得できます。在留期限はありません

③永住者や日本人の配偶者など、身分・地位に基づく在留資格により在留する者とは

日本人や永住許可を受けた人の配偶者およびその子、日系人および日系人の配偶者などです。

特定技能外国人が従事する業務内容について

特定技能外国人が「介護分野」で従事する業務内容は、以下になります。

身体介護など(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつ、整容・衣服着脱、移動の介助など)
付随する支援業務(レクリエーションの実施,機能訓練の補助など)

同じ業務内容の日本人が、通常従事する事となる関連業務に付随的に従事することは問題ありません。
※専ら関連業務に従事することは認められません。
関連業務の一例:
・お知らせ等の掲示物の管理
・物品の補充や管理

※訪問介護等の訪問系サービスにおける業務は対象外です。

技能水準について

特定技能「介護分野」で求められる人材の技能水準は、以下のいずれかを満たしている者となります。

①介護技能評価試験に合格
②介護職種・介護作業の技能実習2号を良好に修了
③介護福祉士養成施設を修了
④EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)

ひとつずつ、確認して行きましょう。

①介護技能評価試験に合格

介護技能評価試験の試験水準は、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を自ら一定程度実践できるレベル(介護職種・介護作業の技能実習2号修了相当の水準である介護技能実習評価試験と同等の水準)とされています。

実施方法:学科試験、実技試験
実施方式:コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式
受験資格:17歳以上
試験科目:学科試験…介護の基本・こころとからだのしくみ・コミュニケーション技術・生活支援技術
     実技試験…判断等試験等の形式による実技試験課題
合格基準:問題の総得点の60%以上

※申込の前に必ずプロメトリックIDを取得しておく必要があります。

申し込み手順はこちら→「介護技能評価試験・介護日本語評価試験 国内試験 申込手順」厚生労働省
詳細はこちら→「介護技能評価試験」試験実施要領 厚生労働省
サンプル問題→介護技能評価試験

②介護職種・介護作業の技能実習2号を良好に修了

「介護職種・介護作業」の技能実習2号を良好に修了した者については、修得した技能が特定技能外国人が従事する業務において要する技能と、介護業務の基盤となる能力や考え方などに基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を自ら一定程度実践できるレベルとされる点で、技能の根幹となる部分に関連性が認められることから、介護業務で必要とされる一定の専門性・技能を有し、即戦力となるに足りる相当程度の知識又は経験を有すると評価され、介護技能評価試験は免除されます。

さらに、介護現場で働く上で支障のない程度の水準の日本語能力も有すると評価し、介護日本語評価試験も免除されます。

③介護福祉士養成施設を修了

介護福祉士養成課程の修了者は、介護分野において一定の専門性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識や経験を有するものと認められるので、介護技能評価試験の合格と同等以上の水準を有するものと評価されます。

④EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)

4年間にわたりEPA介護福祉士候補者として就労・研修に適切に従事した者※は、介護分野において、一定の専門性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識や経験を有するものと認められるので、特定技能への移行にあたり、介護技能評価試験が免除されます。

※具体的には、直近の介護福祉士国家試験の結果通知書により「合格基準点の5割以上の得点であること」「すべての試験科目で得点があること」について、地方出入国在留管理官署で確認が必要です。

日本語能力水準について

特定技能「介護分野」で求められる人材の日本語能力水準は、以下のいずれかを満たしている者となります。

①「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」合格
②「介護日本語評価試験」合格

介護福祉士養成施設を修了した者、EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)した者は、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」、「介護日本語評価試験」の試験は免除となります。

介護日本語評価試験とは

特定技能「介護分野」では、介護現場で介護業務に従事する上で支障のない程度の水準の日本語能力が必要となります。

実施方式:コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式
受験資格:17歳以上(インドネシア国籍の方は18歳以上)
試験科目:①介護のことば ②介護の会話・声かけ ③介護の文書
合格基準:問題の総得点の60%以上

詳細はこちら👉「介護日本語評価試験」試験実施要領 厚生労働省
サンプル問題はこちら👉介護日本語評価試験

職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力水準を有する者と評価され、国際交流基金日本語基礎テストおよび日本語能力試験(N4以上)のいずれの試験も免除されますが、「介護日本語評価試験」は免除されません

介護分野の受け入れ機関にのみ定められている特徴的な基準

特定産業分野14業種の中で、介護分野の受け入れ機関にのみ定められている特徴的な基準があります。

①介護等の業務を行う事業所である事
②介護分野における特定技能協議会への加入

③厚労省が行う調査または指導に対し、必要な協力を行うこと

では、確認して行きましょう!

①介護等の業務を行う事業所である事

介護分野の特定技能外国人を受け入れる事業所は、介護福祉士国家試験の受験資格の認定において実務経験として認められる介護などの業務に従事させることができる事業所でなければなりません。

また、訪問介護などの訪問系サービスについては対象外となります。

②介護分野における特定技能協議会への加入

初めて介護分野の特定技能外国人を受け入れた場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に、介護分野における特定技能協議会に加入し、加入後は介護分野における特定技能協議会に対し必要な協力を行うなどしなければなりません。

また、協議会に対し必要な協力を行わない場合には、基準に適合しないことから、特定技能外国人を受入れることは出来ません。

③厚労省が行う調査または指導に対し、必要な協力を行うこと

特定技能外国人を受け入れる事業者は、厚生労働大臣が行う必要な調査、指導、情報の収集、意見の聴取その他業務に対して必要な協力を行う必要があります。

受け入れ事例紹介動画

出入国管理庁が公開している「介護分野」の受け入れ事例インタビュー動画になります。

👉「介護分野」出入国管理庁

まとめ

今回は特定技能「介護」の基準について、紹介しました。

人手不足が深刻な介護職。利用者が安心して必要なサービスを受けられる体制の確保を図ることが、高齢化の進展等に伴い、増え続ける介護サービス需要に対応するために必要不可欠となります。

その為にも、利用者の心身の状況に応じた介護を自ら実践でき、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる特定技能外国人の活躍が期待されます!

※介護分野は、特定技能1号として在留中、さらに介護福祉士国家試験に合格すると「介護」の在留資格を取得でき、在留期限の上限なく働くことが可能となるので、特定技能2号での受け入れは、現在の段階では行われません。

NES(ネバーエンディングスピリッツ)協同組合では「特定技能者で働きたい外国人の方」と「特定技能者を採用したい企業やお店」のマッチングをお手伝いします。お気軽にご相談下さい!

参考:
「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -介護分野の基準について-」法務省・厚生労働省
「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」厚生労働省
「介護分野における特定技能について」厚生労働省
「介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」法務省

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