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特定技能外国人に求められる基準とは?

前回までのブログで特定技能外国人を雇用する側の基準や詳細を一通り紹介しました。

・特定技能所属機関の基準を満たす
・特定技能外国人と特定技能雇用契約を結ぶ
・1号特定技能外国人支援計画を作成する

特定技能外国人を雇い入れる為には、非常に多岐に渡る基準を満たす必要がありました。

では、特定技能外国人に求められる基準とは、どのような内容でしょうか?
今回はこの「特定技能外国人に求められる基準とは」について紹介します。

特定技能外国人とは

特定技能外国人に求められる基準について紹介する前に、「特定技能1号・2号」について簡単に振り返りましょう。

特定技能1号
・在留期間:1年、6ヵ月または4ヵ月ごとに更新、最長で5年まで在留可
・技能水準:相当程度の知識又は経験を必要とする技能
・日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力 
・家族の帯同:基本的に不可。
・受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象
・対象業種:特定産業分野14業種(下記参照)

特定技能2号
・在留期間:3年、以後1年または6カ月ごとに更新
・技能水準:熟練した技能
・日本語能力水準:確認不要
・家族の帯同:可(配偶者、子)
・受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外
・対象業種:建設、造船・舶用工業(2業種のみ)

特定技能1号は、一定レベルの技能と日本語能力が求められます。
試験に合格する事で水準を満たしていると認められますが、技能実習2号を良好に修了していると、試験は免除されます。

特定技能2号は、特定技能1号より高い技能水準を持つ者に対して付与される在留資格です。
特定技能2号としての技能水準を満たしているかの判断は、試験の合格等によって認められるので、特定技能1号から自動的に特定技能2号になれるわけではありません。
ですが、試験の合格等で特定技能2号の水準を満たしていると認められれば、特定技能1号を経験しなくても特定技能2号の在留資格を取得出来ます。

◆特定産業分野〈14分野〉
介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
◆在留資格
外国人が日本に入国・在留して行うことのできる活動を類型化したもの

これらを踏まえた上で、本題に入りましょう!

特定技能外国人の基準とは

特定技能外国人の基準は、大きく分けて3つに分類されます。

①特定技能1号・特定技能2号に共通の基準
②特定技能1号のみの基準
③特定技能2号のみの基準

それぞれ詳細は異なります。
共通の基準から、紹介していきます!

特定技能1号・特定技能2号に共通の基準

特定技能1号・特定技能2号に共通の基準は、以下になります。

①18歳以上であること
②健康状態が良好であること
③退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
④保証金の徴収等をされていないこと
⑤外国の機関に費用を支払っている場合は,額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること
⑥送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること
⑦外国人が定期に負担する費用について、十分に理解した上で合意していること
⑧分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

では、詳細を確認していきましょう!

①18歳以上であること

日本の労働法制上、18歳未満の労働者に関し特別の保護規定を定めていることから、特定技能外国人についても18歳以上であることを求めるものです。外国人が18歳未満であっても、在留資格認定証明書交付申請を行うことは可能ですが、日本に上陸する時点においては18歳以上でなければなりません。

②健康状態が良好であること

特定技能外国人が、特定技能に係る活動を安定的かつ継続的に行うことを確保する観点等から、当該外国人の健康状態が良好であることを求めるものです。
新たに日本に入国する場合(在留資格認定証明書交付申請を行う場合)には、申請の日から遡って3か月以内に日本で行おうとする活動を支障なく行うことができる健康状態にあることについて、医師の診断を受けなければなりません。

③退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること

入管法における退去強制令書が発付されて送還されるべき外国人について、自国民の引取り義務を履行しない等、退去強制令書の円滑な執行に協力しない国・地域の外国人の受入れは認められません
※令和3年2月19日時点において、この基準によって除外される国・地域は、イラン・イスラム共和国のみです。

④保証金の徴収等をされていないこと

特定技能外国人またはその親族等が、保証金の徴収や財産の管理又は違約金契約(例:作業時間中にトイレ等で離席する事を禁止し、違約金を定める)を締結させられているなどの場合には、特定技能の適正な活動を阻害するものであることから、これら保証金の徴収等がないことを求めるものです。

⑤外国の機関に費用を支払っている場合は、額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること

特定技能外国人が不当に高額な費用を支払い、多額の借金を抱えて来日するといったことがないよう設けられたものです。

⑥送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること

特定技能外国人が、特定技能に係る活動を行うに当たり、海外に渡航して労働を行う場合の特定技能外国人の本国での許可等、本国において必要な手続を遵守していることを求めるものです。(二国間協定)

⑦外国人が定期に負担する費用について、十分に理解した上で合意していること

特定技能外国人が入国前及び在留中に負担する費用について、その意に反して徴収されることを防止するために、当該外国人が負担する費用の額及び内訳を十分に理解して合意していることを求めるものです。

⑧分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

特定産業分野ごとの特有の事情に鑑みて個別に定める基準に適合していることを求めるものです。

特定技能1号のみの基準

特定技能1号のみの基準は、以下になります。

①必要な技能及び日本語能力を有していること
②特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと 

では、詳細を確認していきましょう!

①必要な技能及び日本語能力を有していること

必要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていることが必要となります。
ただし、技能実習2号を良好に修了している者であり、かつ、技能実習において修得した技能が従事しようとする業務において要する技能と関連性が認められる場合は、これに該当する必要がありません。

日本語能力に関しては、独立行政法人国際交流基金及び公益財団法人日本国際教育支援協会が実施する日本語能力試験N4以上に合格する必要があります。
N4の認定目安は「基本的な日本語を理解することが出来る」となっています。
※N1~N5の5段階。N5が一番やさしいレベルです。

詳細はこちら👇
「日本語能力試験公式ウェブサイト」国際交流基金及び日本国際教育支援協会

②特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと

「通算」とは、過去に在留資格「特定技能1号」で在留していた期間や、失業中や育児休暇及び産前産後休暇等による休暇期間等も含まれます。残りの特定技能雇用契約期間や在留期限にかかわらず、「特定技能1号」での通算在留期間が5年に達した時点で以後の在留は認められないので注意が必要です。

特定技能2号のみの基準

特定技能2号のみの基準は、以下になります。

①必要な技能を有していることが証明されていること
②技能実習生の場合は、技能の本国への移転に努めるものと認められること
 

では、詳細を確認していきましょう!

①必要な技能を有していることが証明されていること

従事しようとする業務に必要な「熟練した技能」を有していることが試験その他の評価方法により証明されていることを求めるものです。
分野によっては、技能試験による評価方法に加えて、実務経験等の要件を付加的に求めているものもあります。

②技能実習生の場合は、技能の本国への移転に努めるものと認められること

技能実習の活動に従事していた者が「特定技能2号」の許可を受けようとする場合には、技能実習において修得等した技能等を本国へ移転することに努めると認められることを求めるものです。

まとめ

今回は「特定技能外国人に求められる基準とは」について紹介しました。

日本語能力も技能も一定数の水準が必要であり、即戦力として雇用される特定技能外国人。
今後、同じ職場で仲間として働くかもしれないと思うと、心強いですね!

新型コロナウイルス感染症の様々な影響により、この基準と異なる場合もあります。
例:通算在留期間:新型コロナウイルス感染症の感染 拡大防止のための上陸を拒否する措置などにより再入国 することができなかった期間は含まれない。
参考:「特定技能外国人受入れに関する運用要領」の一部改正について」法務省

最新の情報は、法務省のHP等でご確認下さい!

NES(ネバーエンディングスピリッツ)協同組合では「特定技能者で働きたい外国人の方」と「特定技能者を採用したい企業やお店」のマッチングをお手伝いします。お気軽にご相談下さい!

参考:
「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」出入国在留管理庁
「特定技能外国人受入れに関する運用要領」出入国在留管理庁

参考文献:
井出誠、長岡俊行(2020)『「特定技能」外国人雇用準備講座』株式会社ビジネス教育出版社

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