特定技能と技能実習の違いは?
目次
2019年から導入された「特定技能」制度。
- 名前だけなんとなく聞いた事はあるけど…
- 自分で調べたけれど専門用語が多くて…
- 制度を利用したいけれど、どうすれば…
そんな皆様の疑問・不安をこのブログで解消しましょう!
今回は「特定技能と技能実習の違い」について、簡単に解説します。
技能実習生とは?
特定技能について調べていると、ふと湧いてくる疑問。
「外国人の雇用の制度と言えば技能実習って制度があったよね?」
「そもそも技能実習制度って、どんな内容だった?」
前回のブログでも触れておりますが、現在、新型コロナウイルスの蔓延により、日本だけでなく世界規模で経済が混乱している状態が続いています。日本でも出入国規制が続いており、海外からの人材の流入ができていません。
現在日本に在住している外国人の在留資格を「特定技能に切り替えて採用する方法」があります。
その1つは「技能実習2号の良好な修了者」です。
コロナ禍において外国人人材を確保する方法として、技能実習生は深く関わっております。
まずは「技能実習生」についておさらいしましょう!
技能実習生とは「国際貢献」
外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。
平成28年11月28日に公布され、平成29年11月1日に施行された外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成28年法律第89号)に基づいて、新しい技能実習制度が実施されています。
引用:厚生労働省(hlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/global_cooperation/index.html)
簡単に説明すると「途上国から人材を呼び、日本の技能を教え、帰国後に母国の経済発展に役立てて貰おう」という国際貢献を目的とした制度です。
技能実習の期間と区分
1号(1年目)・2号(2・3年目)・3号(4・5年目)の在留資格で日本に滞在することになりますが、
段階を上がるには「技能検定」や「技能実習評価試験」に合格する必要があります。
3年間は原則的に実習先を変更することが出来ません。つまり、転職が出来ないという事です。
期間は1号が1年、2・3号が2年ずつで最長5年となります。
技能実習2号や3号の良好修了者は、技能と日本語能力の試験が免除され、特定技能への移行が可能です。
※業種によって移行出来ない職種もあります。
技能実習生について、おさらい出来ましたでしょうか?
さて、ここからが本題です!
特定技能と技能実習生の違い
「特定技能=国内の人材確保」と「技能実習=国際貢献」という全く違う目的を持った制度。
双方の違いを、わかりやすく表にまとめました。
技能実習(団体監理型) | 特定技能(1号) | |
関係法令 | 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律/出入国管理及び難民認定法 | 出入国管理及び難民認定法 |
在留資格 | 在留資格「技能実習」 | 在留資格「特定技能」 |
在留期間 | 技能実習1号:1年以内,技能実習2号:2年以内,技能実習3号:2年以内(合計で最長5年) | 通算5年 |
外国人の技能水準 | なし | 相当程度の知識又は経験が必要 |
入国時の試験 | なし(介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり) | 技能水準,日本語能力水準を試験等で確認(技能実習2号を良好に修了した者は試験等免除) |
送出機関 | 外国政府の推薦又は認定を受けた機関 | なし |
監理団体 | あり(非営利の事業協同組合等が実習実施者への監査その他の監理事業を行う。主務大臣による許可制) | なし |
支援機関 | なし | あり(個人又は団体が受入れ機関からの委託を受けて特定技能外国人に住居の確保その他の支援を行う。出入国在留管理庁による登録制) |
外国人と受入れ機関のマッチング | 通常監理団体と送出機関を通して行われる | 受入れ機関が直接海外で採用活動を行い又は国内外のあっせん機関等を通じて採用することが可能 |
受入れ機関の人数枠 | 常勤職員の総数に応じた人数枠あり | 人数枠なし(介護分野,建設分野を除く) |
活動内容 | 技能実習計画に基づいて,講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動(1号)技能実習計画に基づいて技能等を要する業務に従事する活動(2号,3号) (非専門的・技術的分野) | 相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動(専門的・技術的分野) |
転籍・転職 | 原則不可。ただし,実習実施者の倒産等やむを得ない場合や,2号から3号への移行時は転籍可能 | 同一の業務区分内又は試験によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間において転職可能 |
表にすると、違いがよくわかりますね!
主要な違いをピックアップしてみましょう。
☆日本語・技能水準を設定
☆転職が可能になった
☆受け入れ人数の有無
他にも、表では紹介出来なかった「特定技能2号」になると、
母国にいる家族を呼ぶことも出来ます。
別の捉え方をすると
技能実習は「技能も日本語も初歩から教える制度」
特定技能は「ある程度の能力を持った人材を即戦力として受け入れる制度」
と言えるでしょう。
特定技能が取得出来る対象国は?
前回のブログでは「原則としてどの国籍の外国人の方でも取得することは可能」と紹介しております。
今回はここを掘り下げて行きましょう!
特定技能の対象となる外国人の国籍は?
実際に日本で労働する特定技能外国人に対して、国籍は特に限定されていません。
ただし、入管法違反等で強制送還が生じた際に自国民の引き取り義務を履行しないなど、退去強制に協力しない国や地域からの受け入れは認められていません。
2019年4月1日時点において、この基準によって除外される国・地域はイラン・イスラム共和国のみです。
参考:出入国在留管理庁(令和2年4月)「特定技能外国人の受け入れに関する運用要領(http://www.moj.go.jp/content/001315380.pdf)
その他の国・地域からの受け入れについては、特に制限はありませんが「日本政府との間で協力覚書(二国間協定)を結んだ国」がメインになります。
特定技能の二国間協定とは、日本が外国人労働者を送り出す国と締結している取り決めのことです。協力覚書(MOC:Memorandum of Cooperation)とも呼ばれます。外国人労働者を受け入れる必要性が高まる中、各国との約束やルールを明確に定め、受け入れ/送り出しの協力・連携を円滑にするためのものです。
簡単に言えば、法律の違う国同士がやり取りする際のトラブルを少しでも避ける為に制定された、二国間における共通の約束のようなものですね。
なお、二国間協定を締結していない国から人材を受け入れることも可能です。
参考:外国人採用タイムズ「特定技能の「二国間協定」とは?目的や手続きについても解説」
(https://willof-factory.co.jp/articles/tokuteiginou/detail1392/)
特定技能に関する二国間協定の目的は?
この協定は
「悪徳なブローカー・仲介業者の排除」
「人権侵害行為・偽変造文書に関する情報共有」
といった大きな目的があります。
※内容は各国異なる部分もあります。
日本と二国間協定を結んでいる国は?
2021年4月2日時点で、日本と特定技能についての二国間協定を結んでいる国は以下の13カ国です。※日付は締結日
フィリピン・カンボジア・ネパール・ミャンマー・モンゴル・スリランカ・インドネシア・
ベトナム・バングラデシュ・ウズベキスタン・パキスタン・タイ・インド
参考:出入国残留管理庁(http://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri05_00021.html)
まとめ
今回は「特定技能と技能実習の違い」について解説しました。
実際に日本で労働する特定技能外国人の主な国・地域
・二国間協定が結ばれた「主要13ヶ国」
・両国の法令を遵守すれば受け入れ可能な国
・日本からの退去強制へ協力しない国・地域は除外
特定技能についての二国間協定とは
「悪徳なブローカー・仲介業者の排除」「人権侵害行為・偽変造文書に関する情報共有」等を目的とした、日本と送り出し国の二国間での約束。
特定技能と技能実習の違い
特定技能…国内の人材確保が目的。即戦力として受け入れる制度。
技能実習…国際貢献。
似たような制度かと思いきや、全く違う目的を持った各制度。それぞれの特徴を生かして、活用出来るといいですね!
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参考文献:井出誠、長岡俊行(2020)『「特定技能」外国人雇用準備講座』株式会社ビジネス教育出版社