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2021年4月

特定技能外国人を雇用するために必要な事とは?Vol.1:特定技能所属機関

2019年から導入された「特定技能」制度。

前回までのブログでは「特定技能について」「特定技能と技能実習の違い」
について紹介してきました。

次は
うちの会社でも雇えるの?
どんな決まりがある?
どんな職種でもOK?

等、特定技能外国人を雇う立場の皆様が思う疑問・不安を解消しましょう!

今回は「特定技能所属機関になるための基準」についてご紹介します。

特定技能を受け入れる事が出来る会社とは?

どの会社でも、どんな職種でもOK…と言うわけではありません。
特定技能外国人を雇い入れる基準を満たした会社を「特定技能所属機関」と言います。

「特定技能所属機関」になるための基準

①労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
②1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
③1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
④欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
⑤特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
⑥外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
⑦受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
⑧支援に要する費用を,直接又は間接に外国人に負担させないこと
⑨労働者派遣の場合は,派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで,適当と認められる者であるほか、派遣先が①~④の基準に適合すること
⑩労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
⑪雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
⑫報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
⑬分野に特有の基準に適合すること
引用:「特定技能基準省令の概要」法務省(http://www.moj.go.jp/content/001288453.pdf)

かなり細かく基準が定められていますね!
この中からいくつかピックアップして詳細をご紹介します。

①会社が法令を遵守している事

特定技能所属機関には、労働関係法令社会保険関係法令租税関係法令を順守している事が求められています。

日本で事業を営む上で当然の義務を果たしていない、法令を守らないブラック企業では特定技能外国人を雇用する事は出来ない、と言う事です。

②1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと

特定技能雇用契約の締結日より1年以内に、雇用する特定技能外国人が就く業務と同種の業務に従事していた労働者を離職させて居ない事が求められます。
希望退職を募る、退職勧奨なども含まれます。

労働者の中には、外国人労働者はもちろん、日本人労働者も含まれます。
※フルタイムの従業員のみ。

人手不足解消の為に外国人を受け入れる企業が、同種の業務従事者を会社都合で退職させていたら…おかしいですよね。

人件費削減の為に、従業員と特定技能外国人を入れ替えるような事は決して認められません。

特定技能外国人が配属する業務とは違う業務従事者や、自己都合退職、定年退職、懲戒解雇、契約社員が期間満了時に更新を希望しない場合は該当しません。

特定技能雇用契約の締結後に、会社都合の解雇が発生した場合も、基準に達していないとみなされます。

◆特定技能雇用契約
特定技能外国人と特定技能所属機関との間で締結される雇用契約
参考:「特定技能雇用契約とは」外国人雇用の教科書(https://visa.yokozeki.net/tokuteigino-koyo-keiyaku/)

③1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと

特定技能雇用契約の締結日前1年以内に、特定技能外国人と技能実習生について、行方不明者を発生させていない事が求められます。

技能実習生制度では、いわゆる「失踪者」の発生が問題になっています。
原因を詳しく調べると、受け入れた企業に法令違反などがあるケースがありました。
このような事実がある場合「実習実施者(受け入れ企業)の責めに帰すべき失踪」として厳しく扱われます。

ただし、適正な受け入れを行っていたにもかかわらず発生した行方不明者については、これに該当しません。

④欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと

特定技能所属機関では、次のいずれにも該当しない事が決められています。

禁錮以上の刑に処せられた者
出入国又は労働に関する法律に違反し、罰金刑に処せられた者
暴力団関係法令、刑法等に違反し、罰金刑に処せられた者
社会保険各法及び労働保険各法において事業主としての義務に違反し、罰金刑に処せられた者

いずれも「刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者」がその対象となります。

その他、精神の機能の障害により特定技能雇用契約を正しく行えない人や、破産者、過去5年間に技能実習の認定取消を受けた人、外国人に対して暴行・脅迫・監禁行為、私生活の自由を不当に制限した場合も特定技能所属機関になることは出来ません。

参考:「受入れ機関の基準」TOKYOビザ申請オフィス(https://office-immi-lawyer.com/blog/immigration-law/ukeirekikann/)

⑥外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと

特定技能雇用契約を締結するに当たり、外国人又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該外国人と社会生活において密接な関係を有する者が、当該特定技能雇用契約に基づく当該外国人の本邦における活動に関連して、他の者に、保証金の徴収その他名目のいかんを問わず金銭その他の財産の管理をされている場合、又は、他の者との間で、当該特定技能雇用契約の不履行について違約金を定める
契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約を締結している場合にあっては、そのことを認識して当該特定技能雇用契約を締結していないこと。
引用:「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」法務省(http://www.moj.go.jp/isa/content/930005307.pdf)

特定技能外国人が「本人や親族以外の人」に名目は何であれ保証金を支払ったり財産管理をされている不当な金銭を徴収されている事を認識した上で雇用すると、出入国又は労働に関する法令に違反した事となり、5年間は特定技能外国人を受け入れられなくなります。

⑧支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと

特定技能外国人に対しては、義務的な支援として、外国人が出入国しようとする空海港への送迎、外国人と日本人との交流の促進に関する支援、外国人の責めに帰すべき事由によらない契約解除時の転職支援のほか、特定技能雇用契約の内容に関する情報の提供、適切な住居の確保に係る支援等の法務省令に規定される支援を実施しなければならず、これらの支援を実施するためにかかった費用については本人に負担させることは認められません。
引用:「特定技能制度に関するQ&A」法務省(http://www.moj.go.jp/isa/content/930006254.pdf)

特定技能雇用契約の内容に関する情報提供や、住居確保に係る支援というのはなるほど…と思うのですが、特定技能外国人の方が出入国する際の空港や港への送迎も支援の一つなんですね。

⑫報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと

特定技能雇用契約に基づく外国人の報酬を、当該外国人の指定する銀行その他の金融機関に対する当該外国人の預金口座若しくは貯金口座への振込み又は当該外国人に現実に支払われた額を確認することができる方法によって支払われることとしており、かつ、当該預金口座又は貯金口座への振込み以外の方法によって報酬の支払をした場合には、出入国在留管理庁長官に対しその支払の事実を裏付ける客観的な資料を提出し、出入国在留管理庁長官の確認を受けることとしていること。
引用:「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」法務省(http://www.moj.go.jp/isa/content/930005307.pdf)

特定技能外国人に対する給料の支払は確実で適正なものにする必要があるため、当該外国人に対し、給料支払方法として預金口座への振込みがあることを説明した上で、同意がある場合には、預貯金口座への振込みにより行うことが求められます。
振込み以外の支払方法も可能とされていますが、その場合には、後に入管から支払の事実を証する客観的な証拠資料の提出が求められることがあります。

⑬分野に特有の基準に適合すること

以前のブログでも紹介しておりますが、特定技能は「国内の人手不足が深刻化する14業種を対象に外国人の在留資格を認める新しい在留資格制度」です。

生産性向上や国内人材の確保のための取組を行っても、なお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく制度です。

特定産業分野14業種

介護ビルクリーニング素形材産業
産業機械製造業電気・電子情報関連産業建設
造船・舶用工業自動車整備航空
宿泊農業漁業
飲食料品製造業外食業
引用:「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」出入国在留管理庁(http://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf)

特定技能2号に関しては、いまのところ建設、造船・舶用工業の2分野のみが該当しております。

現在含まれていない分野でも、14業種と同様に人材不足の状態になり関係機関より必要と判断されれば、
今後分野の拡大があるかもしれません!

まとめ

今回は「特定技能所属機関になるための基準」について紹介しました。

特定技能所属機関になる為に、色々と細かい基準がありますが、きちんと法令等を守ってる会社でしか特定技能外国人を受け入れる事は出来ないと言う事ですね!当たり前の事ですが、基準として明記されていると安心感があります。

NES(ネバーエンディングスピリッツ)協同組合では「特定技能者で働きたい外国人の方」と「特定技能者を採用したい企業やお店」のマッチングをお手伝いします。お気軽にご相談下さい!

参考文献:井出誠、長岡俊行(2020)『「特定技能」外国人雇用準備講座』株式会社ビジネス教育出版社

特定技能と技能実習の違いは?

2019年から導入された「特定技能」制度。

  • 名前だけなんとなく聞いた事はあるけど…
  • 自分で調べたけれど専門用語が多くて…
  • 制度を利用したいけれど、どうすれば…

そんな皆様の疑問・不安をこのブログで解消しましょう!

今回は「特定技能と技能実習の違い」について、簡単に解説します。

技能実習生とは?

特定技能について調べていると、ふと湧いてくる疑問。

「外国人の雇用の制度と言えば技能実習って制度があったよね?」
「そもそも技能実習制度って、どんな内容だった?」

前回のブログでも触れておりますが、現在、新型コロナウイルスの蔓延により、日本だけでなく世界規模で経済が混乱している状態が続いています。日本でも出入国規制が続いており、海外からの人材の流入ができていません。

現在日本に在住している外国人の在留資格を「特定技能に切り替えて採用する方法」があります。
その1つは「技能実習2号の良好な修了者」です。

コロナ禍において外国人人材を確保する方法として、技能実習生は深く関わっております。
まずは「技能実習生」についておさらいしましょう!

技能実習生とは「国際貢献」

外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。
平成28年11月28日に公布され、平成29年11月1日に施行された外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成28年法律第89号)に基づいて、新しい技能実習制度が実施されています。
引用:厚生労働省(hlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/global_cooperation/index.html)

簡単に説明すると「途上国から人材を呼び、日本の技能を教え、帰国後に母国の経済発展に役立てて貰おう」という国際貢献を目的とした制度です。

技能実習の期間と区分

1号(1年目)・2号(2・3年目)・3号(4・5年目)の在留資格で日本に滞在することになりますが、
段階を上がるには「技能検定」や「技能実習評価試験」に合格する必要があります。
3年間は原則的に実習先を変更することが出来ません。つまり、転職が出来ないという事です。
期間は1号が1年、2・3号が2年ずつで最長5年となります。

技能実習2号や3号の良好修了者は、技能と日本語能力の試験が免除され、特定技能への移行が可能です。
※業種によって移行出来ない職種もあります。

技能実習生について、おさらい出来ましたでしょうか?
さて、ここからが本題です!

特定技能と技能実習生の違い

「特定技能=国内の人材確保」「技能実習=国際貢献」という全く違う目的を持った制度。

双方の違いを、わかりやすく表にまとめました。

技能実習(団体監理型)特定技能(1号)
関係法令外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律/出入国管理及び難民認定法出入国管理及び難民認定法
在留資格在留資格「技能実習」在留資格「特定技能」
在留期間技能実習1号:1年以内,技能実習2号:2年以内,技能実習3号:2年以内(合計で最長5年)通算5年
外国人の技能水準なし相当程度の知識又は経験が必要
入国時の試験なし(介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり)技能水準,日本語能力水準を試験等で確認(技能実習2号を良好に修了した者は試験等免除)
送出機関外国政府の推薦又は認定を受けた機関なし
監理団体あり(非営利の事業協同組合等が実習実施者への監査その他の監理事業を行う。主務大臣による許可制)なし
支援機関なしあり(個人又は団体が受入れ機関からの委託を受けて特定技能外国人に住居の確保その他の支援を行う。出入国在留管理庁による登録制)
外国人と受入れ機関のマッチング通常監理団体と送出機関を通して行われる受入れ機関が直接海外で採用活動を行い又は国内外のあっせん機関等を通じて採用することが可能
受入れ機関の人数枠常勤職員の総数に応じた人数枠あり人数枠なし(介護分野,建設分野を除く)
活動内容技能実習計画に基づいて,講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動(1号)技能実習計画に基づいて技能等を要する業務に従事する活動(2号,3号) (非専門的・技術的分野)相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動(専門的・技術的分野)
転籍・転職原則不可。ただし,実習実施者の倒産等やむを得ない場合や,2号から3号への移行時は転籍可能同一の業務区分内又は試験によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間において転職可能
引用:「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」出入国在留管理庁(http://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf)

表にすると、違いがよくわかりますね!

主要な違いをピックアップしてみましょう。
☆日本語・技能水準を設定
☆転職が可能になった
☆受け入れ人数の有無

他にも、表では紹介出来なかった「特定技能2号」になると、
母国にいる家族を呼ぶことも出来ます。

別の捉え方をすると
技能実習は「技能も日本語も初歩から教える制度」
特定技能は「ある程度の能力を持った人材を即戦力として受け入れる制度」
と言えるでしょう。

特定技能が取得出来る対象国は?

前回のブログでは「原則としてどの国籍の外国人の方でも取得することは可能」と紹介しております。

今回はここを掘り下げて行きましょう!

特定技能の対象となる外国人の国籍は?

実際に日本で労働する特定技能外国人に対して、国籍は特に限定されていません。
ただし、入管法違反等で強制送還が生じた際に自国民の引き取り義務を履行しないなど、退去強制に協力しない国や地域からの受け入れは認められていません。
2019年4月1日時点において、この基準によって除外される国・地域はイラン・イスラム共和国のみです。

参考:出入国在留管理庁(令和2年4月)「特定技能外国人の受け入れに関する運用要領(http://www.moj.go.jp/content/001315380.pdf)

その他の国・地域からの受け入れについては、特に制限はありませんが「日本政府との間で協力覚書(二国間協定)を結んだ国」がメインになります。

特定技能の二国間協定とは、日本が外国人労働者を送り出す国と締結している取り決めのことです。協力覚書(MOC:Memorandum of Cooperation)とも呼ばれます。外国人労働者を受け入れる必要性が高まる中、各国との約束やルールを明確に定め、受け入れ/送り出しの協力・連携を円滑にするためのものです。

簡単に言えば、法律の違う国同士がやり取りする際のトラブルを少しでも避ける為に制定された、二国間における共通の約束のようなものですね。

なお、二国間協定を締結していない国から人材を受け入れることも可能です。

参考:外国人採用タイムズ「特定技能の「二国間協定」とは?目的や手続きについても解説」
(https://willof-factory.co.jp/articles/tokuteiginou/detail1392/)

特定技能に関する二国間協定の目的は?

この協定は
「悪徳なブローカー・仲介業者の排除」
「人権侵害行為・偽変造文書に関する情報共有」
といった大きな目的があります。
※内容は各国異なる部分もあります。

日本と二国間協定を結んでいる国は?

2021年4月2日時点で、日本と特定技能についての二国間協定を結んでいる国は以下の13カ国です。※日付は締結日

フィリピン・カンボジア・ネパール・ミャンマー・モンゴル・スリランカ・インドネシア・
ベトナム・バングラデシュ・ウズベキスタン・パキスタン・タイ・インド

参考:出入国残留管理庁(http://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri05_00021.html)

まとめ

今回は「特定技能と技能実習の違い」について解説しました。

実際に日本で労働する特定技能外国人の主な国・地域
・二国間協定が結ばれた「主要13ヶ国」
・両国の法令を遵守すれば受け入れ可能な国
・日本からの退去強制へ協力しない国・地域は除外

特定技能についての二国間協定とは
「悪徳なブローカー・仲介業者の排除」「人権侵害行為・偽変造文書に関する情報共有」等を目的とした、日本と送り出し国の二国間での約束。

特定技能と技能実習の違い
特定技能国内の人材確保が目的。即戦力として受け入れる制度。
技能実習国際貢献

似たような制度かと思いきや、全く違う目的を持った各制度。それぞれの特徴を生かして、活用出来るといいですね!

NES(ネバーエンディングスピリッツ)協同組合では「特定技能者で働きたい外国人の方」と「特定技能者を採用したい企業やお店」のマッチングをお手伝いします。お気軽にご相談下さい!

参考文献:井出誠、長岡俊行(2020)『「特定技能」外国人雇用準備講座』株式会社ビジネス教育出版社

特定技能とは?コロナ渦でも外国人労働者は採用できるのか?

2019年から導入された「特定技能」制度。

  • 名前だけなんとなく聞いた事はあるけど…
  • 自分で調べたけれど専門用語が多くて…
  • 制度を利用したいけれど、どうすれば…

そんな皆様の疑問・不安をこのブログで解消しましょう!

今回は「特定技能」制度の詳細、現状をご紹介します。

特定技能とはどんな制度?

特定技能とは「国内の人手不足が深刻化する14業種を対象に外国人の在留資格を認める新しい在留資格制度」で、2019年4月1日から開始されました。

生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお、人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく制度です。

特定技能の対象になるのはどんな業種?

外国人の就労が解禁されている特定技能の対象業種としては、主に深刻な人手不足と認められた下記の14業種が該当となります。

◆特定技能1号受け入れ可能14分野対象

①介護業身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴,食事,排せつの介助等)のほか,これに付随する支援業務(レクリエーションの実施,機能訓練の補助等)(注)訪問系サービスは対象外
②ビルクリーニング業建築物内部の清掃
③素形材産業鋳造・鍛造・ダイカスト・機械加工・金属プレス加工・工場板金・めっき・アルミニウム陽極酸化処理・仕上げ・機械検査・機械保全・塗装・溶接
④産業機械製造業鋳造・鍛造・ダイカスト・機械加工・仕上げ・機械検査・機械保全・電子機器組立て・塗装・鉄工・工場板金・めっき・溶接・工業包装・電気機器組立て・プリント配線板製造・プラスチック成形・金属プレス加工
⑤電気・電子情報関連産業機械加工・金属プレス加工・工場板金・めっき・仕上げ・機械保全・電子機器組立て・電気機器組立て・プリント配線板製造・プラスチック成形・塗装・溶接
⑥建設業型枠施工・左官・コンクリート圧送・トンネル推進工・建設機械施工・土工・屋根ふき・電気通信・鉄筋施工・鉄筋継手・内装仕上げ/表装・とび・建築大工・配管・建築板金・保温保冷・吹付ウレタン断熱・海洋土木工
⑦造船・舶用工業溶接・塗装・鉄工・仕上げ・機械加工・電気機器組立て
⑧自動車整備業自動車の日常点検整備,定期点検整備,分解整備
⑨航空業空港グランドハンドリング(地上走行支援業務,手荷物・貨物取扱業務等)・航空機整備(機体,装備品等の整備業務等)
⑩宿泊業フロント,企画・広報,接客,レストランサービス等の宿泊サービスの提供
⑪農業耕種農業全般(栽培管理,農産物の集出荷・選別等)・畜産農業全般(飼養管理,畜産物の集出荷・選別等)
⑫漁業漁業(漁具の製作・補修,水産動植物の探索,漁具・漁労機械の操作,水産動植物の採捕,漁獲物の処理・保蔵,安全衛生の確保等)・養殖業(養殖資材の製作・補修・管理,養殖水産動植物の育成管理・収獲(穫)・処理,安全衛生の確保等)
⑬飲食料品製造業飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工,安全衛生)
⑭外食業外食業全般(飲食物調理,接客,店舗管理)

特定技能の対象となる外国人は?

新制度に適合した技能や日本語能力があるかどうかを求めており、学歴などについては特に問われませんが、年齢は18歳以上となっています。
また、原則としてどの国籍の外国人の方でも取得することは可能です。

ただし例外として、改正出入国及び難民認定法違反による退去強制令書の円滑な執行に協力しない国や地域(例:イラン・イスラム共和国等)の方は、「特定技能の在留資格」で来日することはできません。

対象となる外国人は「特定技能1号・2号」と位置づけされており、以下のように定義しています。

◆特定技能1号
※在留期間が1年で、6ヵ月または4ヵ月ごとに更新があり、最長で5年まで在留が可能です。家族の帯同は基本的に認められていません。
「業務を行うために必要な知識と経験を有している外国人」が「特定技能1号」に該当し、対象業種は先述の「14業種」としています。
◆特定技能2号
※在留期間が3年で、以後1年または6カ月ごとの更新、家族(配偶者あるいは子)の帯同が認められています。
特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格となっています。こちらの「特定技能2号」は、「建設業」と「造船・舶用工業」の2業種のみ対象となっており、運用が開始されるのが2021年以降に予定されています。
※「在留資格」とは、外国人が日本に入国・在留して行うことのできる活動を類型化したものです。

特定技能1号になるためには?

特定技能1号になるための要件については、

  1. 技能水準
  2. 日本語能力水準

という2つの基準が定められており、その基準を満たす必要があります。

技能水準◆技能測定試験技能水準については、各省庁が定めた試験等を合格する必要があります。(例えば介護職であれば、介護技術を確認する試験に合格しなければなりません。)
日本語能力水準◆日本語能力試験または国際交流基金日本語基礎テスト日本語能力水準では、日本で生活や業務行うために必要な日本語能力を有しているかどうかを試験して、合格する必要があります。「日本語能力試験(N4以上)」あるいは「国際交流基金日本語基礎テスト」(A2レベル以上)

特定技能の現状

新たな在留資格「特定技能」制度が開始されて1年半以上が経ちましたが、法務省から発表されている最新数値を見ると、特定技能全14分野を合わせて「8,769人」となっています。

制度開始時の受入想定の最大人数が「約47,000人」であったことを考えると、特定技能制度は当初の想定よりも活用されていないということが言えます。

労働力不足解消が近々の課題となっている日本にとっては、「特定技能」制度を企業側に積極的に活用してもらえるようにしなければなりません。2021年度には初回制度見直しがあり、制度創設からの約2年間でもかなり多くの制度改正が行われていることから「特定技能」制度にはまだまだ課題点が多いようです。

また、業種別の内訳を見てみると、「飲食料品製造」が最も多く、次いで「農業分野」が多い人数となっています。

参照:http://www.moj.go.jp/isa/content/001334461.pdf

特定技能に対するコロナの影響と今後の見通し

現在、新型コロナウイルスの蔓延により、日本だけでなく世界規模で経済が混乱している状態が続いています。

日本でも出入国規制が続いており、海外からの人材の流入ができていません。

法務省の出入国在留管理庁がまとめた2020年6月末のデータによると、在留外国人数は288万人と、過去最高だった2019年末から1.6%減少し、技能実習生も2.1%減っています。

また令和2年9月末時点での「特定技能1号在留外国人数」の総数は、8769人となっています。

参照:http://www.moj.go.jp/isa/content/001334461.pdf

先述しましたが、当初日本政府が想定していた特定技能の目標人数は「約47,000人」でしたが、今現在に至っても目標人数を大きく下回っています。

これは新型コロナウイルスの影響も大いに考えられますが、もう一つの理由としては法案の成立から施行が非常に短かったことで、制度の整備が遅れ、不透明で分かりづらい状況が続いてしまったことがあるようです。

そのため、特定技能活用に前向きだった多くの企業も、制度が不透明なので、対応時期を見送る判断をしたことも要因の一つです。

今後、コロナ禍が落ち着き入国制限が解除されたときに、「特定技能」を企業側から積極的に取り入れてもらうためには、まず制度の明確化や簡素化などの立て直しが必要となりそうです。

また、現在は入国制限解除がいつになるのか見通せない状況となっています。

そんな現在のコロナ禍において外国人人材を確保する方法として、日本に在住している外国人の在留資格を特定技能に切り替えて採用することを検討する企業が増えていています。

①入国予定だった特定技能者の現状と今後

新型コロナウイルスの影響による日本への入国規制により、在留資格の認定が下りていても入国できず、母国で規制解除を待っている状態の外国人の方が多くいます。

しかし昨年末(12月26日)、全世界の国・地域からの新規入国措置等が令和2年12月28日から令和3年1月末まで一時停止となる旨の政府決定がありました。
さらに、2021年1月13日付けで一時停止期間が「緊急事態解除宣言が発せられるまで」に変更となり、2021年3月18日付で、当面の間一時停止が継続されることとなりました。

②現在日本に在住している特定技能者

このような海外からの入国の目途が立っていない今の状況で外国人人材を確保する方法として、現在日本に在住している外国人の在留資格を、特定技能に切り替えて採用することに多くの企業様の注目が集まっています。

日本国内にいる人材を特定技能に切り替える方法は下記の2つの方法があります。

(1)分野別試験、日本語能力試験の両方に合格している方

こちらの対象となる方の多くは留学生です。そのため、入社の時期が卒業のタイミングの4月に集中することが多く、分野別の試験自体もまだまだ頻繁に行われていないこともあり、試験合格者が特定技能に変更するにはもう少し時間がかかりそうな印象です。

(2)技能実習の2号を良好に修了している方

こちらの対象となる技能実習生の中には、特定技能への移行を希望して継続的に日本で働きたい方がたくさんいます。新型コロナウイルスの影響で出国できず母国に帰国できないため、特に特定技能への移行を希望する外国人の方は多くなっています。企業側でも現在注目しているのはこちらの(2)の国内にいる技能実習生です。

参考:https://willof-factory.co.jp/articles/tokuteiginou/detail780/
入出国在留管理庁の特定技能総合支援サイト:https://www.ssw.go.jp/

まとめ

今回は特定技能について紹介致しました!

労働力不足解消が近々の課題となっている日本にとっては、「特定技能」制度を企業側に積極的に活用してもらえるようにしなければなりません。2021年度には初回制度見直しがあり、制度創設からの約2年間でもかなり多くの制度改正が行われていることから「特定技能」制度にはまだまだ課題点が多いようです。

人材不足解消の糸口となる「特定技能制度」について、これからも様々な情報を紹介致します!

NES(ネバーエンディングスピリッツ)協同組合では「特定技能者で働きたい外国人の方」と「特定技能者を採用したい企業やお店」のマッチングをお手伝いします。お気軽にご相談下さい!

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